コロナ禍で成長する新サービス業態とシェアリングエコノミー

新型コロナウイルス禍は、感染の抑制と経済活動の維持という相反する2つの要素を両立させなくてはならない難しい課題を私たちに突きつけました。しかし、同時に、さまざまな企業がそれぞれの知見を活かして、これまでにない機能性やデザインを持つマスクを開発・販売するなど、新たな発想で現状に対処し、ビジネスを切り拓こうとする動きも見られます。個人が空き時間を利用してレストランやファストフードショップのデリバリーを行うUber Eatsの普及なども、今を象徴する現象です。
今回は、読者の皆さんの発想のヒントになるような、デジタルインフラを利用した新しいユニークなサービスやビジネスの取り組みを紹介します。

公式バーチャルメイクアップを提供するロレアル

BiND CAMPでは、以前に、Zoomなどのリモート会議サービスと組み合わせて利用できる仮想カメラのSnap Cameraを紹介したことがありました。Snap Cameraを使うと、Zoomが要求するよりも低いスペックのコンピュータでもバーチャル背景を利用できたり、自分の顔に仮想的なメイクを施してリモート会議に参加することができます。しかし、これまでそのようなアドオン的機能は、あくまでもソフトハウスや個人のクリエイターが主体となって提供されていました。

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ところが、ついに大手化粧品メーカーであるロレアル パリが、公式のバーチャルメイクアップソフトの提供を始めたのです。Signature Facesと呼ばれるこれは、VOLUMISING CAPSULES(ボリュームアップするカプセル)、PLUMP SHOT(ふくよかなショット)、FIRE MATCH(炎のマッチ)という3つのテーマ別コレクションからなり、Snap Cameraのほか、写真共有SNSのSnapchatとInstagram、ビデオ通話アプリのGoogle Duo向けにリリースされています。
ロレアル事例1

ロレアル事例2
ロレアル パリが公式にリリースしたバーチャルメイクアップソフトのSignature Facesは、Snap Cameraなどのアドオンとして提供されています。第一弾のコレクションは、普段使いというよりも個性的なイメージが強いものですが、これには新しい試みをアピールする意味合いもあり、今後はより一般的なコレクションもリリースされていくのかもしれません。

世界各地で人々の外出が制限されている状態ではメイクアップの機会が減って、化粧品メーカーのビジネスにもそれなりの影響が出ているはずですが、ロレアル パリのこの試みは、そんな中でもブランドイメージを維持し、業界をリードする存在であることをアピールするマーケティング的な意味合いがあるでしょう。
同社は、今回のリリースは第一弾と銘打っているので、これからもコレクションを増やしていくものと思われます。少なくとも現時点では無料で利用できますが、消費者がバーチャルメイクアップを新たな常識として受け入れるようになったら、シーズンごとに最先端のコレクションを有償で提供していくのかもしれません。

アパレル店舗スタッフのノウハウをオンラインで活用

ウイルス禍でビジネスに支障をきたしたのは、リアルなブティックを構えるファッションブランドも同じです。通販に移行するにしても、すでに確立している通販専門のアパレル企業と直接競うのは難しい面があります。
ブティックを持つブランドの強みは、経験に基づく販売ノウハウを持ち、自社ブランドの服を着こなして、直接的な接客による的確なアドバイスで売り上げに貢献する店舗販売員の存在です。しかし、従来の通販のスタイルでは、各ブランドが個々の販売員の知識や顧客の人脈を活かすことができず、また、歩合制の販売員にとっては、通販で売り上げがあっても収入増には結びつきませんでした。

こうした状況を覆し、通販でも店舗販売員の個性やノウハウが活かせ、ブランドの売り上げとスタッフ本人の利益につながる仕組みを作り出したのが、STAFF STARTのデジタル接客アプリです。

STAFF-STARTアプリ
STAFF STARTのアプリは契約業者に対して提供されるもので、一般向けのダウンロードはありませんが、それぞれのブランドのECサイトやSNSに対して販売員が投稿した写真や動画、アドバイスなどが商品の販売に結びつくと、その販売員の業績となり、顧客とのエンゲージメントも深まる仕組みです。SNSとの連携やQRコードで顧客が商品ページにアクセスしやすくする工夫などは、自身のサイト構築のヒントにもなるでしょう。

販売員は、商品のコーディネートや利用シーンの説明、商品のおすすめポイントなどのアピールを、リアルな接客と同じようにアプリ上で動画や写真を通じて行うことができ、それが販売につながると、個人の売り上げや評価として可視化され、給与や昇進にも反映されます。顧客も、通販でありながら販売員のアドバイスを受けているのに近いショッピング体験が可能となり、馴染みの販売員とのエンゲージメント(関係性)も深まるわけです。

STAFF STARTの取り組みは、リアル店舗と通販のメリットを融合して、新たなハイブリッド型のアパレル販売を実現したものといえ、ウイルス禍以前から成長してきたビジネスですが、ニューノーマルの時代にフィットするアパレルの新業態をサポートするサービスとして、一層注目されるようになりました。

独立経営のフードトラックをネットワーク化

飲食業界も、人々の外出や多人数での会食の制限のあおりを直接受けたビジネス分野です。イートインが基本だったレストランでもテイクアウトや出前対応のメニューを用意するようになりましたが、この逆境下で人気を集めたのが、元々、店舗を持たない移動販売のフードトラックでした。
フードトラックごとに特徴あるメニューが提供され、その日の気分に応じて選べるという点が人気の要因ですが、そこには問題もありました。利用者にとっては、いつどこに特定のフードトラックが現れるかがわかりにくく、フードトラックのオーナーにとっては、営業できる場所が限られていたり、しばしば変更を強いられていたのです。

この問題を解決したのが、メロウという企業が運営するSHOP STOPというサービスプラットフォームでした。メロウは、遊休スペースのある建物や土地の所有者と交渉して都市部に315ヵ所の拠点を確保しており、そこにSHOP STOPに登録した900店舗のフードトラックが入れ替わり立ち替わり訪れて営業します。顧客はSHOP STOPのアプリを通じて、何日にどの場所にどのフードトラックが来るかを知ることができ、好みのメニューを選びやすくなるわけです。

コロナ禍で成長する新サービス業態とシェアリングエコノミー
コロナ禍で成長する新サービス業態とシェアリングエコノミー
メロウが運営するSHOP STOPのプラットフォームは、900店舗のフードトラックと315ヵ所の拠点を結びつけて、オーナーの安定した経営と遊休スペースの活用を図り、消費者にとってもテイクアウトの食のバラエティを提供しています。

ある意味で、消費者とフードトラックのマッチングサービスともいえるSHOP STOPは、顧客にはテイクアウトできる食のバラエティをもたらし、フードトラックのオーナーには売り上げ予測を立てやすいビジネス環境を確保したことになります。
このプラットフォームもウイルス禍以前から伸びていましたが、最近では鮮魚などの業者もこの仕組みを使って移動販売を行うなど、ウイルス禍を逆手にとる形で拡大しているのです。

海外のユニークなシェアリングエコノミーサービス

こんな風に、人々や企業が持つ知識や技術、資源などを持ち寄ったり共有することで経済活動を行うことを「シェアリングエコノミー」と呼びますが、海外にもユニークなシェアリングエコノミーの例がありますので、3つほど紹介しておきましょう。

空きスペースを利用してマッチングするサービス

1つ目は、Neighborで、これは、空きスペースを持っている人や企業と、収納スペースや駐車スペースを探している人とをマッチングするサービスです。

たとえば筆者の周りでも、在宅勤務などで生まれた空き時間に自宅の整理や引越しを行う人が出てきています。その際に処分できるものは良いのですが、捨てられないけれども場所をとる家財道具や趣味のアイテムの置き場に困るケースも少なからずあるようです。一方では、商店街などで廃業した店の空間が手付かずで残っていたり、利用する機会が減ったマイカーを手放してガレージが空いていたりすることも見られます。そこで、それぞれの近隣(Neighborは「隣人」の意味)で一時的にでも荷物を預けたい人とスペースが余っている人を結びつけられれば、お互いに助かることになるわけです。

Neighbor
収納スペースや駐車スペースを求めている人や企業と、そのようなスペースを持っている人や企業を結びつけることで、互いにメリットが得られるサービスがNeighborです。ウイルス禍は、このようなサービスが成長する機会となる可能性があります。

作業を手助けしてくれる人を探せるサービス

2つ目のTaskRabbitは、さまざまな作業の手助けをしてくれる人を探せるサービスで、やはり近隣地域内のニーズを満たす仕組みといえます。
作業の内容も、家具の組み立てから、届け物の配達、庭掃除、買い物代行、除雪、テレビや額縁の設置など多岐に渡り、IKEAの公式パートナーにもなっていることから、社会的な信用も得ているようです。

TaskRabbit
TaskRabbitは、色々な技能を持つ人々と、そうした手助けを必要としている人々を結びつけるサービスで、買い物代行や庭仕事など、双方が直接的な接触なしに依頼できる作業カテゴリーも用意されています。

食事会をホストして人を招待できるサービス

3つ目のeatwithは、その名の通り、食事会をホストして人を招くことのできるサービスで、ウイルス禍の今は難しい面もあるでしょう。しかし、「もしも世界中の人が、他の家族と食事を共にする機会があれば、戦争はなくなる」という考え方もあるように、eat withのようなサービスは、コミュニティや異文化間の理解を深める力を秘めています。
試しに、対象地域をTokyoにして検索してみると、日本でもホスティングをしている人やグループが存在していました。1日も早くウイルス禍が収まり、こうしたサービスが本来の魅力を取り戻す日が来て欲しいものです。

eatwith
食事会をホスティングして、近隣や旅行者に参加してもらえるeatwithのサービスは、ウイルス禍の今は逆境に置かれているともいえますが、ニューノーマルの環境が落ち着けば、世界各地で分断されたコミュニティを再び結びつける新たな意味を持ってくる可能性があるでしょう。

まとめ

このように、新型コロナのウイルス禍は、社会に多くの経済的な打撃を与えましたが、一方では新たなビジネスチャンスを生んだり、以前から存在していたサービスが成長したり社会に浸透する後押しとなっている側面もあります。

また、ニューノーマルの時代には、規模の大小を問わず既存の事業者がこれまでとは違う発想でビジネスを発展させていくことが求められ、そのためにインターネットの活用がますます重要なものとなっているのです。

この意味で、Webサイトのトップページや、SNSからの誘導でアクセスしてくるランディングページは、リアルな店舗のショーウィンドウのように大切であるといえます。これを機会に、自社やショップのWebページをBiNDupを使ってリニューアルし、新たなイメージの下でさらなる飛躍のための次のステップを踏み出してみてはいかがでしょうか?

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