DX化とは?メリットと導入にあたってのポイントを紐解く
ここ数年で働き方が多様化し、首都圏の大手企業だけでなく地方の中小企業でもDX(デジタルトランスフォーメーション)がより身近になりました。ITテクノロジーや様々なWebサービスを活用してビジネスに採り入れることでどのようなメリットが得られるのでしょうか?
ASCII.jp主催のオンラインウェビナーにて、中小企業事業者にとってのDXの基本や必要性を知る入り口としてのトークセッションが展開されました。
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地方・中小企業が知っておくべきデジタルシフト・DXのあり方【ASCII STARTUP×BiND】
※このセミナーは終了しています。
トークセッションの登壇者
トークセッションの登壇者は写真左から、急成長中の電子契約サービス『クラウドサイン』の事業部長である弁護士ドットコム株式会社 取締役 橘大地氏、日本企業向けのShopify導入コンサルティング、構築、運用、販売支援を手掛ける株式会社ウェブライフジャパン CEO 山岡義正氏、Web制作ツール『BiNDup』を展開し、多数のコンサルティング事例を持つ株式会社デジタルステージ 代表取締役の熊崎隆人、数々のウェブディレクションの書籍を手がけ、Webサイトやウェブサービスのプロデュースに詳しい株式会社まぼろし 取締役CMOの益子貴寛氏の4名。
日本で課題となっているDXの問題と本質
システムのフルカスタマイズが引き起こす技術のガラパゴス化
今回のコロナ禍の中で、欧米諸国に比べて日本がIT後進国であると言われるようになりました。そのようになってしまった原因としては、携帯電話に代表されるような“ITのガラパゴス化”にあると熊崎は説きます。
様々な市場において国内である程度大きなマーケットを持っていたため、ITにおいても日本にローカライズしたような内輪の発展をしていきました。
日本のITの特徴として、完全オーダーメイドの独自システムやカスタマイズされたパッケージを大手企業に限らず中小企業でも多く使われていることが挙げられます。一見便利そうに思えますが、こういったシステムのデメリットとして、時代の流れや社会的な問題に対応してシステムを更新しなければならない時に使用者側に膨大なコストがかかってしまい、なかなか新しく作り変えられないことがあります。もともと日本のIT技術が劣っていたわけではなくても、固有のフルカスタマイズを優先させたために世界的な標準化に遅れを取り、IT後進国と言われる状況になったと言えます。
企業のDXの遅れによって生じる莫大な損失
特に地方では社内にITの専門家がいないため外部のITベンダーに丸投げしてしまうことが多いのも、フルカスタマイズによる保守費用の増大化で何もできなくなってしまうという事態を引き起こしています。
このような指摘は経済産業省からも挙げられており、既存システムが事業部門ごとに構築され、全社横断的なデータ活用ができず過剰なカスタマイズで複雑化していること、経営者がDXを進めても業務自体の見直し(経営改革)に関わるため現場サイドの抵抗も大きいことが課題となっています。この課題を打破できず、企業のDXが実現できない状態が続くと2025年以降には現在の約3倍にもなる年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると試算されています。
Webのノウハウを持っている企業が提供しているクラウドサービスをなるべくカスタマイズせずに上手く使いこなすことが、膨大な追加コストや技術的な負債を負わずにビジネスのDXを進めることに繋がります。
中小企業が取り入れるべきデジタルサービスの特徴
対面でモノが売れない時代にこそ、高い利益を見込めるECシステム
今やメーカーや小売業では、いくら良い商品を作ってもオンライン上に販路がなければ売れないと言われています。個人が簡単にオンラインショップを作成できるサービスも最近は多くリリースされていますが、作成は無料でも売上額によって高騰する手数料を考慮するとShopifyのような定額のサービスの方がはるかに高い利益を見込める、と山岡氏。
小さく作って大きく育てるというニーズや限られた予算内でもある程度対応できることから地方企業からも注目されている要因です。コロナ禍となってから直接対面することが難しくてもオンラインを使ってお客様との接点を作ることで売り上げになっていきます。
WebLife JapanによるShopifyの制作事例
お客様側にもコストをかけずに利用できる電子契約
一方で、2020年後半から契約書の押印廃止の動きに合わせ、法改正によってDXに対するインフラが整ってきていると橘氏は言います。
クラウドサインの電子契約は2021年に入ってから社内決裁だけでなく、外部との契約締結にも活用されるようになりましたが、その中心は大企業のみであり、中小企業はまだ着手できていない現状です。こういったDXは、生産性の向上やコストの削減など内面的なメリットだけではなく、移動などの手間をかけずに手続きを円滑に進めたいお客様からも望まれています。
自社のためだけではなく、取引先やお客様のためにDXを取り入れることでスムーズなやりとりが顧客満足度の向上に繋がります。
https://www.cloudsign.jp
DX化の成功を左右するシステム導入の考え方
DX導入時に気をつけたい判断基準
オンライン上では早くて2週間ほどの構築期間があればモノやサービスを売り始めることができます。システム導入の最適な判断として、最初から良いツールを選べるような目利きや、運用に試行錯誤をしながら改善をしていく事に気をつけなければいけません。
カスタマイズにはかなりの費用や納期がかかるため、業務内容をシステムに合わせることやオープンなクラウドサービスを視野にいれることも考えるべきだと熊崎は語ります。
クラウドサービスならトライアルですぐに試すことができるので複数のサービスを利用しながら比較検討し、お客様との接点に関わる部分や機能を使いこなせるかどうかなどの優先順位をつけて投資判断をする事ができます。
ただし、単純にECを作るだけ、手続きをデジタル化するだけでモノやサービスが売れるというわけではありません。DXによってお客様のためにどんな価値を作り、届けたいかを考えてこまめに運用できる事が重要です。
企業の存続意義が問われるDXの時代
DXの時代には流通の垣根が取り払われることで、地方に住む人がその地方の企業からモノやサービスを買うことの意義が薄れていきます。地方企業は流通による恩恵以外での付加価値をデジタルの世界で構築していかなければいけません。
逆に、オンラインでの対面などが浸透し使い勝手が改善していくことで、今まで存続が危ぶまれていた伝統工芸や文化など地方ならではの価値があるものはDXの恩恵を受けられるチャンスでもあります。これからは地方企業が本当の意味で何を売っているのかを見直す時代になっていきます。
地方企業にも利用者の多い企業向けCMS
ビジネスのDXとしてまず初めに必要となるのが企業のオンライン上の窓口となるWebサイトです。ホームページ作成サービスのBiNDupなら、Webの知識がなくてもクオリティーの高いサイトを構築でき、マーケティングなど長期的な成長をサポートする機能でPDCAを回しながらWebサイトを運用することができます。
地方でも個人事業主や中小企業経営者を中心として、さまざまな業種のサイトに利用されていますので、ぜひDXの第一歩としてBiNDのエンタープライズを検討してみてください。
POINT
- 過度なカスタマイズせずに優れたシステムをうまく活用し、ビジネスを最適化する
- 取引先やお客様の利便性を考慮すればDXでサービスを提供するのは必然
- オンライン上でどんな付加価値を作り出せるかが企業の存在意義を問う