拡販の鍵を握るリード獲得のためのオウンドメディア事例と役立つツール

デジタル社会が進むにつれ、プライバシー保護はますます重要な課題となってきています。しかし、その一方では、モノやサービスを販売していくためのマーケティング活動において、「リード(見込み客)」に関する情報を得ることは欠かせません

リード情報は、過去には第三者的な専門企業が集めた「サードパーティデータ」や、ネット上での行動から推測された情報を活用することが主流でした。しかし、最近では、勝手に収集されたデータにおけるプライバシー上の懸念や、推測された情報の正確さが問題視されるようになり、それらに代わる「ゼロパーティデータ」(Webページの来訪者などが合意のうえで自ら書き込んだり申告する情報)に注目が集まっています。

今回は、リードを獲得して優良顧客に育成することの重要性に触れ、リード情報を得るための見返りとなる資料性の高い電子書籍の作成に有用なツールを紹介します。

コンテンツマーケティングにおけるリード情報の必要性

コンテンツマーケティングでは、売りたい製品やサービスの情報を押し付けるのではなく、直接それらと結びつかなくても、リードを含めた顧客が知りたいと思えるような情報を継続的に提供し、高い専門知識を持ったお店や会社、ブランドとしての信用を築くことが大切です。

ただし、不特定多数の来訪者に情報を公開しているだけでは、実際のビジネスに結びつきにくいことも事実といえます。信頼を得たうえで、リードが求めるものを見極め、それをピンポイントで提供することによって優良顧客へと転換し、最終的に商品やサービスを購入してもらえるように段階を踏んでマネタイズできることが理想です。

リード獲得からコンバージョンに至る流れ

一般に、このリード・ジェネレーション(見込み客獲得)から、コンバージョン(商品/サービスの購入)に至る流れは、アメリカのマーケティングとセールスのコンサルティング企業、シリウスディシジョンズ(現在は、フォレスターに吸収)が提唱した「デマンド・ウォーターフォール」(直訳すれば、需要の滝)と呼ばれるモデルによって説明されます。

図に示すように、「デマンド・ウォーターフォール」は、リード・ジェネレーション(見込み客獲得)→リード・ナーチャリング(見込み客育成)→リード・クオリフィケーション(見込み客選別)→商談→契約/受注/販売のように絞り込みが行われていくことを表し、当たり前ですが、最初に獲得するリードの人数が多く、育成(購買意欲向上)の割合が高いほど、最終的なコンバージョンにも多くを期待できるわけです。

リード獲得から受注までの図

リードの獲得から商品・サービスの購入までの流れを図式化した「デマンド・ウォーターフォール」

「デマンド・ウォーターフォール」は、元々、BtoB企業を対象として考えられたものなので、BtoCのスモールビジネスや個人商店にとっては、商談、契約、受注のような単語が大袈裟に感じられますが、その点を除いたデジタルマーケティングの基本的な部分は会社の規模や事業分野を問わず同じです。

そして、効率の良いリード・ナーチャリングのためには、リードの名前や年齢、職業(会社員ならば部署なども)、趣味、電話番号、メールアドレス、SNSアカウント名などの情報を(すべてではないにしても必要最小限)知らなくてはなりません。それらの情報と、Webサイト内でどのページをどの程度の時間を割いて見ていたかや、どのリンクをたどってどこのページに遷移したかといった行動データを組み合わせて分析することで、個別の興味に応えるパーソナライズされた商品/サービス情報の提供が可能となるからです。
 

リードの獲得、育成、選別のための仕掛けとは?

まず、リード・ジェネレーションのために必要な仕掛けですが、コンテンツマーケティング的には、ゼロパーティデータを得ることができるメールマガジンへの登録や資料のダウンロードが有効です。

といっても、Webサイトの来訪者が、最初からいきなりメールマガジン登録や資料ダウンロードをしてくれると期待することはできません。そこは、自社のビジネスに応じて想定されるターゲット層が求めていると思われる情報を、地道に、かつ継続的に提供することで、いち早く続きが読みたい、より深く知りたいという気持ちを高め、自発的に登録やダウンロードしてもらえるように誘導するのです。

SNS活用やSEO対策と分析

そのような情報提供の方法としては、Webサイトの充実を基本に、SNS(LINE公式アカウントの無料プランやTwitterなどの即時性のあるもの)を通じた情報発信や、SEO対策による検索ワードからの誘導なども考えられます。他にも、それなりの予算があればWeb広告の掲載を通じてリードを獲得する方法もありますが、費用を抑えて効果を上げるには、無料でできることから始めるのがよいでしょう。

SNS活用には、Webサイトを充実させたうえでブログなどのコンテンツの一部をSNSで紹介し、続きをサイトに誘導することは、リード・ジェネレーションに有効です。

また、SEO対策がしっかり行われていれば、リードの興味に直結した検索ワードによってWebサイトが閲覧されることになり、獲得したリードからゼロパーティデータが得られれば、パーソナライズされたメールマガジンやダイレクトメール、セミナー/ウェビナーなどを通じて、先方が求めている商品やサービスに関する最適な情報を提供でき、リード・ナーチャリングを行うことが可能となります。

さらに、メールマガジンやダイレクトメールを起点とする問い合わせの頻度や、セミナー/ウェビナーなどの参加回数を把握、分析すれば、購買意欲が十分に高くなっているリードを特定でき、これがリード・クオリフィケーションとして機能することになるわけです。
 

コンテンツからリード取得につなげた成功例

ここで、ユニークなコンテンツからリード情報取得へとつなげている成功例を2つ紹介しておきましょう。会社の規模や事業内容は違っても、それらの手法には参考にできる部分があるはずです。

事例「LIG」:人気記事を週1回メールマガジンで配信

LIGというWeb制作会社のもので、過去10年以上に渡り、毎日、社員によって更新されてきた8000を超えるブログ記事の魅力で月間500万ものPVを獲得しています。ブログの内容は、実用的なものからエンタメ系のものまで多岐に渡り、たとえば「会議通訳をのりきる4つのコツ」のような真面目な話題がある一方で、「『清めの塩』と『普通の塩』って味違うの?」や「31にもなって約2週間仕事をせずにXのことを無心で追いかけてみる」、あるいは、自社で運営していた英会話スクールの閉校のお知らせ自体をテーマにするなど、何が出てくるかわからないユニークさが売り物です。
https://liginc.co.jp

LIGのブログ

自社で運営していた英会話スクールの閉校のお知らせまでもテーマにしてしまうユニークさで、多くのPVを獲得しているLIGのブログ。

実は、一見すると脈絡がないように思えるブログテーマの幅広さは、会社の企画力の高さをアピールするためのもので、過去のアーカイブの中から厳選した記事を週一回のペースで配信するメールマガジンの購読に誘導することによって、リード情報を取得する仕組みになっています。

LIGブログ例

そのブログの8000を超えるアーカイブから厳選した記事を週一回配信するメールマガジンの登録によってリード情報を取得し、潜在的なセミナー参加者を特定している。

事例「キーエンス」:小冊子をシリーズ化して配布

先端的な工場設備などの設計・販売を手がけている株式会社キーエンスの事例で、バーコードに関するコンテンツに特化したオウンドメディアを展開しています。とてもニッチな話題で、しかも、自社のビジネスとも直接関係してはいないテーマですが、このような基礎知識的な情報に対しては一定のニーズがあり、特にエンジニアの知的好奇心や、知っておくと仕事の役に立ちそうという気持ちに訴える内容といえるでしょう。

キーエンスのオウンドメディア

株式会社キーエンスでは、ニッチだが確実なニーズのあるバーコード関連情報をオウンドメディア内で提供している。

その上で、「よくわかるバーコードの基本」という資料性の高い小冊子をシリーズ化して制作し、その電子書籍をダウンロードする際にリード情報の提供を求めています。

キーエンスのビジネスはBtoBですが、たとえばデザイン事務所であれば「デザインのイロハ」や「カラーコーディネートの基本」、美容室ならば「ヘアスタイリングのトレンド」や「ヘアカラー選択のポイントと注意点」のような専門知識を小冊子としてまとめて提供するなど、同じ手法をそれぞれの業態に合わせて応用すれば、リード情報の取得に結びつけることができるはずです。

小冊子ダウンロード

さらに、最小限知っておくべき情報を「よくわかるバーコードの基本」シリーズの小冊子としてダウンロードできるようにすることで、リード情報の取得に結びつけている。

リード情報の見返りとなる電子書籍を楽に作れるツール

こうした小冊子のようにダウンロード可能な電子書籍は、リード情報の取得のためのみならず、会社やお店のことをより深く知って優良顧客になってもらうためのリード・ナーチャリングにも有効です。しかし、出版社でもないのにパブリッシングソフトの使い方を学んで電子書籍を作るのは荷が重いと感じる人もあるでしょう。
そこで、図や写真データを用意して、その場でテキストを打ち込むだけで、あるいは、画像入りのWordファイル(横書き/縦書き共に可)を用意して変換するだけで、EPUB形式の電子書籍を作ることができるRomancerというオンラインサービスを紹介しておくことにしました。

EPUB形式の電子書籍を作ることができるRomancerとは

Romancerは、日本の電子出版のパイオニア的存在のボイジャーによって開発されたツールで、日本語の細かなところまで行き届いた電子書籍を簡単に作れるように工夫されています。また、完成した電子書籍は業界標準のEPUB形式でも書き出せますが、固有のURLを発行して、Web上で閲覧することも可能です。
EPUB形式のファイルは、MacやiPhone/iPad上では標準装備されたiBookアプリで表示でき、PCやAndroidデバイスでも無料アプリやChromeブラウザ用のePubリーダーで読むことができます。

Romancerの最新編集ツールであるNRエディターの使い方

RomancerのNRエディターの使い方は公式のオンラインガイドを見れば、文章の入力から作品の完成までを通して理解することが可能です。EPUB変換後のファイルサイズが月間50MBまで無料で利用でき、利用容量は毎月1日にリセットされるので、小冊子であれば無料プランの範囲内で十分に作れるでしょう。

NRエディタ1

Romancerでは、WordファイルやPDF書類から業界標準のEPUB形式の電子書籍を簡単に生成して書き出したり、作品URLから閲覧することができる。

Romancerのユニークな機能

Romancerのユニークな機能として、作品URLに紐付けされる形で、このような書籍の擬似立体イメージを生成することも可能となっている。

文章スタイルの指定や画像の追加

文章スタイルの指定や画像の追加は、このようなポップアップメニューから行う。

画像のタイトルやキャプション

画像のタイトルやキャプションには、文字数の目安が表示されるので、それに従って文章を入力すれば良い。

まとめ

このように、見込み客に実際の商品やサービスを購入していただくためにリード情報を取得することは大いに役立ちますが、何もせずにそうした情報が手に入るわけではありません。見込み客が、それを入手するために個人情報の一部を提供してもよいと思ってもらえるような見返りを用意することが重要です。

また、本文中では触れなかったものの、リード情報を収集するだけでなく、集めた個人情報が後で漏洩することのないような体制を整えておくことも必要となります。
いずれにしても、まずは魅力的で継続的に知りたくなるようなコンテンツを用意して、ホームページ作成サービス「BiNDup」を使ってスタイリッシュにまとめ、それを起点にしてメールマガジンの登録や電子書籍のダウンロードに誘導し、必要とする情報を記入してもらえるような導線を考えてみましょう。リード情報の活用は、そこから始まるのです。

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  • POINT

  • Web訪問者が直接登録するゼロパーティデータを活用し顧客育成する
  • リード獲得にはメールマガジンへの登録や資料のダウンロードが有効
  • 電子書籍を作成するには便利なツールを活用する

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