動画を活用したサイト&プロモーション事例

 過去3回のコンテンツマーケティングの概要を通じて、必要とされる重要な18の要素についてお話ししてきました。今回は、その中でも近年特に注目され、また、導入しやすくもある動画の活用事例を紹介したいと思います。

 そのような動画は、オウンドメディアのサイト内に埋め込まれていることもありますし、YouTubeなどの動画共有サイト、FacebookやInstagramなどのSNS上で公開されている場合もあるでしょう。しかし、いずれにしても動画はファイルサイズが大きくなるため、オウンドメディア内で利用する場合でもサーバー容量を占有してしまわないように、あらかじめ動画共有サイトにアップロードし、そのリンクを利用して自分のページに埋め込む手法が現実的です。
 ここでは、BiNDユーザーが制作したWebサイト、それ以外のWebサイト、海外の事例、地方の観光課によるユニークな試みを交えながら、動画を利用する意味や効果を上げるためのポイントなどに言及していくことにします。

コンテンツマーケティングに関するこれまでの記事は以下を参照してください。

購入に繋げるためのコンテンツマーケティング9つの要素

動画を利用する意味と効果

 スマートフォンに高性能なカメラ機能が付き、いつでも持ち歩いて気軽にビデオ撮影が可能となったり、YouTubeなどの動画共有サービスが登場して、全世界向けの配信でさえ手軽に行えるようになるまで、動画は特別なメディアでした。つまり、放送局のようなプロフェッショナルのみが日常的に利用し、一般の消費者は運動会や旅行などの特別な機会に、あくまで内輪の記録として撮っておくような存在だったのです。
 しかし、今では、少しでも面白いことや興味を惹くことがあれば、すぐに撮影を始めてシェアしてしまうような、簡便でリアルなコミュニケーション手段となっています。これは、情報を提供する企業側の意識にも影響を与え、たとえば、レシピサイトやサービスでも、写真とテキストによる説明を読んでもらう方式から、動画によって調理の流れを見て理解してもらう手法への変化が起こってきました。

 動画広告に関しても、サイバーエージェント オンラインビデオ総研/デジタルインファクトによる調査で、2016年から2017年にかけてその市場規模は163%の伸びを見せて1,374億円となり、中でもスマートフォン向けのものは190%の伸びで1,096億円規模に達して、その後も順調に拡大。オンラインの動画は、スマートフォンからモバイル状態で視聴されるケースが多いことが明らかとなっています。

 動画を利用するメリットは、臨場感を持って情報を伝えられる点や、短時間でより多くの情報量を扱えるという点です。また、最近ではスクリーンが大型化しているとはいえ、スマートフォンの画面上で細かな文字を追うよりも、音声付きの動画のほうが受け手にとって、知りたいことが楽に理解できるといえるでしょう。
 しかも、動画の撮影や編集も、かつてのように大袈裟な機材を必要とせず、身近なスマートフォン上で完結できるのですから、Webサイトを充実させていく上で、これを利用しないという手はないのです。

BiNDユーザーの利用例

 そこで、まずはホームページ制作サービス「BiNDup」を使ったサイトの中から、動画の利用例をご紹介します。ストリート系ダンススクールである”GROOVE FOUNDATION”のサイトを覗いてみましょう。BiNDらしいダイナミックなレイアウトの中に、ストリートダンス舞踏団”NATURAL MOVEMENTZ”の座長で、同スクールのプロデューサーでもあるNUEさんや、キッズダンスチームのダンス風景の動画が配されています。

 このようなWebサイト用の動画を用意する際の大きな誤解は、テレビ番組などと同じようなクオリティや構成にしなくてはならないという思い込みです。もちろん、クオリティは高いに越したことはありませんが、映像のプロに制作を依頼すればそれなりの予算が必要となって二の足を踏んだり、鮮度を保つための更新もつい疎かになってしまう可能性があります。
 それよりも、手作りであっても即時性を重視したり、かしこまらずに普段から様々な場面や出来事を動画で記録するように習慣づけ、舞台裏を見せることで親近感を出すほうが効果的だったりするのです。

 その意味で、こちらのサイトの動画はライブ感があり、ダンス経験のない初心者でも気遅れせずに参加してみようかと思える親しみやすさが出ているといえるでしょう。
 また、映像作品ではなく情報提供がメインの動画の場合、タイトル部分や場面転換などに凝らずに、いきなり本題に入ってしまっても問題ありません。ここでもやはりテレビなどの影響で体裁を整えがちですが、オンライン動画を見る側としては単刀直入に動画の中身を見せてくれるほうが、スピーディーで理にかなっていると感じることも多いのです。

事例(GROOVE FOUNDATION)

ストリート系のダンススクールである“GROOVE FOUNDATION”のサイトは、BiNDを使って制作されています。
グルーブファウンデーション1

ダンスのようにダイナミックなパフォーマンスは、動画でなくては伝えられません。同スクールのプロデュースを行っているNUEさんのダンスも、このような動画による紹介があります。
グルーブファウンデーション2

同スクールのキッズダンスチームが参加したイベントなどの動画も紹介されていますが、こうした記録動画を撮る習慣をつけておくことで、動画コンテンツを充実させていくことも比較的簡単に行えるのです。
グルーブファウンデーション3

概要とディテールを含める

 ショップの紹介などでは、店頭や店内の様子を紹介する概要の動画と、扱い商品の外観や特徴などがわかるディテールの動画を同一ページに収めると、情報を重層的に見せることが可能です。
 自転車好きの筆者がネットを検索していて出会った「フリーパワーショップ」は、ギアの中にシリコーン性の特殊なパーツを内蔵して、その反発力を利用することで発進時や登坂時のペダリングをアシストするというフリーパワーシステムを販売するサイクルショップですが、そのサイトのトップには、ショップ紹介とメカニズム紹介のための2つの動画が配されています。このようにすることで、ショップが一番伝えたいお店の様子と商品の特徴がすぐにわかり、その下に続く情報にも興味をつなげやすくなるわけです。

 まず文字による説明を行って、その理解を深めるために動画を利用する方法もありますが、こちらのサイトのように、冒頭の「つかみ」として動画を使うのも、顧客とのエンゲージメントを高めるうえで効果的です。どちらが良いかは、ビジネスの内容やスタイルにもよるので、両方のやり方をテストしてみて有効と思えるほうを選んでもよいでしょう。

事例(フリーパワーショップ)

フリーパワーショップ
「フリーパワーショップ」のサイトでは、お店の概要紹介とフリーパワーシステムの解説動画をトップに配置して、2つのアピールポイントをまず印象付ける構成になっています。概要紹介にある写真イメージが飛び交うような動画は、スマートフォンに標準の動画編集アプリや市販のツールを使って似たイメージのものを作ることが可能です。

海外のユニークな事例

 こちらも自転車系のサイトですが、ビジネス自体もユニークな海外の事例として紹介しておきたいと思います。アメリカはペンシルバニア州の”FETTY’S CYCLE SERVICE”という移動自転車ショップです。
 固定的な店舗を持たず、顧客のところに出向いて自転車の販売や整備を行っている会社で、広大なアメリカならではのサービスといえるでしょう。

 こちらのサイトの動画の特徴は、「この仕事をしている人の顔が見える」ということです。店舗がない分、自分たちを信頼した上で利用してもらわなくてはなりません。そのためにも、代表者や担当者が自らの言葉で語りかけることが重要なのです。
 3分ほどの短い動画ですが、ビジネスオーナーの人柄や整備の様子、依頼者とのコミュニケーション、予約方法の概要などがわかり、長い説明を読むよりもはるかに効率的にサービスの概要を理解してもらえるようになっています。
 また、ページの最後にはワンポイントでパンク修理のやり方を説明した動画も配されていて、これは修理キットのメーカーが制作したものと思われますが、ツールさえあればDIYでのパンク修理も簡単に行えることをアピールして、最終的にはキットの販売につなげる意図があるでしょう。このように自前の動画でなくても、許可を得て掲載することで、ビジネスの役に立てられることもできるのです。

事例(FETTY’S CYCLE SERVICE)

移動自転車ショップの”FETTY’S CYCLE SERVICE”のサイトでは、ビジネスオーナー自らが登場する動画をページの頭のほうに配して、サービスの概要や会社のモットーなどについて語りかけることで、信頼感が得られるようにしています。
フェッティーズサイクルサービス1
ページの最後にはパンクの修理方法を解説した動画があり、安価なツールさえあれば自分でも簡単に直せることを理解してもらって、修理キットの販売につなげています。
フェッティーズサイクルサービス2

視点を変えて興味を惹く試み

 最後は、広島県観光課による観光客誘致のための動画を紹介しましょう。これらの動画は、「カンパイ!広島県」という特設サイトで公開されているものですが、時期によってテーマが変わったり、インタラクティブな地図の中から見つけ出さないとならなかったりするので、ここではYouTubeの直接リンクを貼っておくことにしました。
 まず、”CAT STREET VIEW”(https://youtu.be/pFULqJJCnqs)は、尾道や竹原など、多くのネコが生息している商店街や町中の道を、Google Mapのストリートビュー風に、ネコの目線で撮影した写真や動画で構成したインタラクティブな地図です(リンクは、そのコンセプトムービー)。
 あえて地面スレスレの低い位置から撮影するという手法が使われ、ネコになった気分で、広島の観光地の日常的な風景を見て回ることができます。こうした工夫によって、1週間でPVが4倍となり、町おこしに成功したそうです。
 もう1つの観光課による動画は、千光寺ロープウェイからの空中散歩(https://www.youtube.com/watch?v=EcG2SLKWqfU)ですが、360度のVRビデオとして撮影されています。VR再生に対応しているブラウザで再生すると、ゴンドラから空中に飛び出したかに思える視線で、あらゆる方向に360度見回すことが可能です。
 最近では、360度撮影が可能なカメラも比較的安価に入手できるようになったので、少しでも他のサイトと差別化を図りたいと思う方は、ぜひ挑戦してみてください。

事例(広島県観光課)

広島県観光課による”CAT STREET VIEW”は、低い位置からの動画撮影によって、ネコ目線での町中案内を実現しています。ちょっとした工夫ですが、これも有効な動画活用術の1つです。
キャットストリートビュー

千光寺ロープウェイ
ドローン撮影のように、空中に浮かんだ視点からの動画は、ロープウェイのゴンドラの窓から突き出した360度カメラによって実現されました。ドローン撮影は航空法の規制で気軽に行えなくなっていますが、360度カメラならば擬似的な空中撮影を手軽に行えるのです(ただし、撮影にあたっては、十分に注意して自己責任で行うことが求められる点は、いうまでもありません)。
千光寺ロープウェイ

まとめ

 昨今は、テレビ局でさえも視聴者投稿の映像を番組内で紹介する頻度が高まり、丸ごとそれで構成した番組まで放送されるようになりました。そういう時代なので、Webサイトも写真やイラストに留まらず、見る人の好奇心を満たす動画を積極的に採り入れることが重要です。

 本文中では、ビジネスの内容やスタイルに合わせてページ内の動画の位置を変えて、その効果を確かめてみるという話をしましたが、BiNDupを使えば、いくつかのパターンを用意して試すことも簡単に行えます。1つのレイアウトにこだわり過ぎず、一歩踏み出した見せ方に挑戦することも、外注せずに自分でWebサイトを制作する楽しみといえるのです。
 次回は、360度動画も含めて、ユニークな動画そのものを作るためのアプリやテクニックについて採り上げますので、お楽しみに。