老舗写真館に学ぶ、コロナ時代に合わせて変化すべきビジネススタイル
コロナ禍の影響を受け、多くの企業が事業の縮小や廃業を決断せざるを得ないという状態が続いています。すべての業種やサービスがオンライン化に完全対応できるわけではありませんが、こんな時代だからこそ変化すべきこと、ビジネスとして求められているアイディアとは一体どういうものでしょうか?
1927年に開業された老舗「青木写真館」の長谷部氏に、時勢を意識した施策や変化するべきこと、Webサイトを介した集客についてインタビューしました。
クオリティの高いサンプル写真が多く掲載されたホームページ
長野市の善光寺そばで100年近く営業されている「青木写真館」のWebサイトはホームページ作成ツール「BiNDup」で作られています。様々なシーンの写真をバリエーション豊かに掲載し、レンタル衣装や撮影イベントの情報も丁寧な解説付きでわかりやすいのが特徴です。グローバルナビゲーションのカテゴリなどもよく整理されているのでサイトの構成が把握し易くされています。
「青木写真館」https://www.aokishashinkan.com/
閑散期でも工夫でビジネスチャンスにしてきた強みを生かす
得意分野で提案するWithコロナ時代ならではの思い出づくり
夏に浴衣やおさんぽをテーマにしたロケーション撮影をされている理由は何ですか?
長谷部氏「こういった企画は閑散期となる写真館の夏の集客のために7年前から始めました。ロケーション撮影の需要が高まったこと、私たちも町で見かけるご家族の、もっと自然なそのままの姿を撮影したいという気持ちが強くあり、思い切ってスタジオから戸外でのロケーション撮影キャンペーンに切り替えました。
今年はコロナの影響でスタジオ撮影をあきらめた方も多いことと思い、期間を例年より長い2ヶ月間にしたところ“春に子供の記念日の写真を撮らなかったから”などの理由で申し込まれる方がたくさんいらっしゃいました。暑い夏でしたが、地の利を生かした飯綱高原での撮影は、“マスクを外して子供達も自由に走り回れて楽しかった”と、大変喜ばれました。どこにも遊びに行かなかった代わりに、撮影後に湖でボートに乗ったり遊具で遊んだり、高原のカフェでアイスクリームを食べたり、ご家族の時間を楽しんで帰られたようでした。浴衣キャンペーンは告知期間が短く小規模でしたが、申し込まれた方は“お祭りはなかったけれど子供に浴衣を着せられた”“浴衣でデートができた!”など嬉しいご感想をいただきました。」
長谷部氏「今後は、“家族で楽しむフォトウェディング”を企画として考えています。結婚式が縮小せざるを得ない今、むしろ写真だけはプロの手で残したいという方が多くいらっしゃるはず。ことに、赤ちゃんが生まれてから結婚式をされる方、ドレスや和装を着なかった方に向けて、ファミリーウェディングを提案したいと思っています。ウェディングフォトとお子様のあやし方、どちらも長年の経験があり、得意分野なので。Withコロナの時代のウェディングフォトをしっかり考えていこうと思っています。」
長谷部氏「また、七五三で着物を着る楽しさに目覚めながら、その後、着る機会も撮影する機会もなくなる小学生高学年のお子さんを対象にハーフ成人式キャンペーンも考えています。他ではあまり見かけない10歳から13歳ぐらいのティーンエイジャー向けのレンタル衣装が揃っている強みを生かして、もう一度お着物を楽しんでいただきたいと思っています。」
紙の広告からネットへ。Webサイトこそターゲット層の新規客に繋がる
季節や行事ごとの企画をどんな告知方法で広めていますか?
長谷部氏「おさんぽと浴衣キャンペーンはDMハガキを対象となる顧客のご家族に送付しました。また、知り合いのカフェや病院など何ヶ所かにDMハガキを置いていましたが、ご来店いただいたことのある顧客の方の反応が一番でした。
以前は、地元の地方新聞やタウン紙などにも広告を載せていましたが、2年ほど前に全てやめました。一番見ていただきたい20代後半から40代前半の世代が、あまり新聞を購読していないことがその理由です。この世代はネットで情報を集めることに慣れています。ホームページで企画を知って、“こういう撮影をしてくれるところを探していたんです”と、初めてお越しいただいた方が何組かあり、とても嬉しかったです。その方々は、長野に引っ越して来て間もない、という共通点があり、ホームページの持つ力を改めて感じました。Instagramにも投稿し、ストーリーズで撮影の様子がわかる写真を何枚か載せましたが、ホームページより集客の効果は薄かったと思います。」
訪問者の”知りたいこと”に力を入れたホームページ
見返りなくお客様から届く’生の声’と事例をダイレクトに載せる
Webサイトでこだわっているところはどこですか?
長谷部氏「たくさんの写真の掲載は、ホームページを立ち上げる上での一番の目的でした。言葉よりも写真を見ていただき、雰囲気を知ってほしいと考えたからです。InstagramやFacebookも大切ですが、サイトではカテゴリーごとにまとめて写真を見せられるため、目的を持って訪れるお客様にとっては便利なのではと思います。写真が多い分、サイト全体にはなるべく色を使わず白を基調にスッキリさせることを心がけています。忙しくても少なくとも週に一度は何かしら更新するよう心がけています。」
長谷部氏「お客様の声のページは地味ですが閲覧される回数も多く、とても大事なページだと思っています。メールや同梱するハガキでご感想を送ってくださる方には、その方に対しての返答を必ず書き、メールの方には返信を、ハガキの方には写真入りのお葉書を個別に送ります。記念品や割引といったメリットもないのに、こんなに丁寧にご感想を送ってくださるお客様がいることは、本当にありがたいことだと思います。何の見返りもないのに書いてくださるからこそ、本当の“声”だと思っています。“ここは残念だった”というご意見もそのまま載せています。反省とともに、そのご意見で改善した点も多々あります。初めてサイトを訪れる方が、どんなスタジオか少しでも伝わるよう安心感を持っていただければと思います。」
これからWebサイトでやってみたいことは何でしょうか?
長谷部氏「お問い合わせが多いご利用方法のガイドページを作りたいと思います。写真館というなじみのないところに初めていらっしゃる方に、予約から納品までの流れ、打ち合わせは必要なのかなど具体的にわかりやすく載せたいです。Google Analyticsは導入していますが、活用方法がよくわからず、何人訪れたかや、どのページを見たか位しか把握できていません。解析は重要だと思うのですが、データをどう読み取ってどう活かしたら良いのかということを、早急にSmoothGrowを取り入れてやってみたいです。ぺージごとのデザインの統一、インパクトのあるトップページなど他にも改善したいところがいっぱいです。」
BiNDupのマーケティング機能「SmoothGrow」の設定方法についてはこちら
細かい設定がカギ!大手同業者にも負けないSEO対策としてできること
「長野」+「写真館」でGoogle検索順位が上位ですがどんなSEO対策をしていますか?
長谷部氏「ドメインエイジのおかげもあると思いますが、Google Analyticsに連携していること、画像にalt属性をできる限り記載すること、地元のお客様が多いので「長野」というキーワードを入れるようにしているぐらいです。ただ、BiNDupの「SEOアシスタント」のチェックに従い、テキストの無駄なスペースを外したりページ名の長さを短くしたりといったことは実施してみました。問題点がわかるため、とてもありがたい機能です。」
この他、タイトルに地名と業種が入っていたり、写真の解像度をそれぞれ調整されているのもSEO評価を上げるポイントになっています。
▼SEO対策の改善点がわかる、SEOアシスタントについての詳しい記事はこちら
「不要不急」とされても、新たなビジネスアイディアを提案
100年の時代の変遷で起きる多くの困難にも負けない仕事への情熱
1927年からの長い間、営業を続けられている秘訣は何でしょうか?
長谷部氏「現在は法人化していますが、創業した先々代、先代、現社長と、代々家族経営でやって来ました。家族や人生にとっての大事な記念の写真を撮影するという仕事なので、事業を大きくすることよりも小さなスタジオに来てくださるお客様一人一人に喜んでいただくことを第一に考え、少しでもよい写真をと研鑽を怠らず取り組んできました。また、地域社会に生かされているという自覚から、近隣や地域、業界の発展にも微力ながら力を尽くして来たことも信頼に繋がったのかもしれません。100年近い年月の間には幾つもの困難に直面しましたが、乗り越えられたのは、写真への情熱、時代の変化に負けずに対応して来たからだったと、あらためて振り返って感じています。」
堅実なだけではなく、時代の流れを感じて新しいものを取り入れる
長谷部氏「節目に写真を撮ることが一般にも広がり始めた明治末期に写真の修業に入り、昭和2年、苦労の末に独立して写真館を始めたのが先先代でした。しかし戦争末期には、写真を撮ることは今で言う”不要不急”とされ、国策による職業統制で一時店を閉めることを余儀なくされたのです。ようやく存分に写真が撮れる平和な時代が訪れたものの、戦後2年足らずで病没。その後、先代は同業の先輩にも助けられながら店を軌道に乗せたものの、高度経済成長期を迎えると誰でも気軽に写真が撮れる時代に。“写真館は斜陽。いずれなくなるだろう”とさえ言われる中で力を入れたのは、いくつかのホテルと契約しての出張ブライダル撮影でした。ホテルでの結婚式の需要が増えていく中で実績が認められ、老舗ホテル内に専属写真室を設けることになりました。
現社長の代になると、アナログからデジタルという写真界にとって激動の時代を迎えました。写真館にとっては命のような暗室を思い切って廃し、早々にデジタル化を決断して今に至っています。堅実なだけではなく、時代の流れを感じて躊躇なく新しいものを取り入れたことが、営業を続けるにあたっての重要な判断だったと思います。」
コロナ禍の時代だからこそ大切にすべきポリシー
長谷部氏「近年、郊外に大きなスタジオと駐車場を備えた大手のスタジオや、全国展開する格安のチェーン店も増えています。それら新しい業態のスタジオの価格に比べれば、料金も高いのですが“撮影料無料”や“キャンペーンでこの時期は半額”などの言葉で広告を打って、結局は後から高額になるような集客は絶対にしたくないというポリシーは変わりません。」
長谷部氏「レンズを通して撮る人と撮られる人が向き合う写真は、信頼と安心がなければよい表情を見せていただくことはできません。アットホームな雰囲気で、お客様に喜んでいただけることが心から嬉しいと感じられること。今、その思いをスタッフ皆が共有できていることが大きな力です。コロナ禍で厳しい時代だからこそ、その原点を大切にしてゆきたいと思っています。」
自作のWebサイトなら低コストで集客が可能
ターゲットに合わせて特化した2つのサイトを運用
ウェディングフォトのサイトはWordPressで運用されています。違いはありますか?
長谷部氏「ブライダル撮影は通常のスタジオ撮影とは異なり、ターゲットも違います。そこで、写真もできるだけ多く掲載したウェディングに特化したサイトを立ち上げました。3年前からブライダルの着付けやメイクができる美容スタッフが加わり、提携ホテルに頼らず集客ができるようになったことがきっかけです。WordPressを使っている知人の勧めと興味から、WordPressで作成しました。けれど、HTMLが分かっていないとやはり敷居が高く自由なページを作ることが難しい上、実際に運営してみると2つのサイトを維持するのは想像した以上に大変で、BiNDPressでも同じようにできたのかな、とも思っています。」
Web初心者でもわかりやすいのはBiNDup
サイト制作にBiNDupを選んでいただいた理由は何ですか?
長谷部氏「初めは業者に外注していましたが、写真の差し替えもままならず、しかも費用が高かったため、なんとか自分でできないものかと思っていたところ、同業の写真館の方よりBiNDを紹介いただき早速調べてみました。BiNDのサイトを見ただけで一目惚れ。デザインがとても素敵だったからです。HTMLもCSSも全くわからない私が無謀かとも思いましたが、どうしてもBiNDを導入したいという気持ちだけで始めました。」
長谷部氏「今だにHTMLもCSSも理解できていないのですが、それでも自分なりにサイト構築ができ”ホームページを見たのですが…”と集客ができるのが励みです。ブロックという考え方、ページ編集の自由度など気に入っています。また、BiND CAMPのTips系の記事がとても楽しいです。これからはCSSがカスタマイズできるDressを勉強して、もっと全ページ統一感のあるサイトにしたいと思っています。WordPressを使ってみて、BiNDがどれだけ素人にも分かり易いのかがよくわかりました。ただ、接続時にしばしばタイムアウトしてしまうので、その点が改善されると良いと思います。」
ありがとうございました
時代の変化へ臨機応変に対応し、Webサイトにも力をいれて集客されている青木写真館の長谷部氏にお話を伺いました。今やどの企業でもサービスや就業の形態を改めて考え直すタイミングが来ています。多くの経験から自分の強みを生かして新たなチャレンジを続ける青木写真館の施策をぜひヒントにしてみてくださいね。
HTMLやCSSがわからなくてもWebサイトが運用できる
BiNDupでは専門的なHTMLの勉強をしなくても、様々な業種に合わせたテンプレートや独自の編集機能でクオリティの高いホームページを作ることができます。先日実装されたマーケティング機能「SmoothGrow」で運用面もしっかりサポートしてくれるので、ぜひご利用ください。
POINT
- 地域を活かした企画力をWebでも丁寧に発信して顧客と新規客の獲得に繋げる
- お客さんが知りたいコンテンツを地道に更新してエンゲージメントが向上
- 新しいものを躊躇なく取り入れながら、原点となるポリシーを大切にする