AIを使った代表的なマーケティングサービスとその正体

AIあるいは人工知能と呼ばれる技術は、近年、スマートフォンやスマートスピーカーで利用できるAppleのSiriやGoogleのGoogle Assitant、AmazonのAlexaなどのデジタルアシスタント機能の登場によって身近な存在となりました。そして、ビジネスへの応用も相次ぎ、特にマーケティング分野ではアクセス数や実際の商品の購入率の向上に寄与しています。しかし、AIの実体については、よくわからないという方も多いようです。
そこで、ここではAIとは何かを説明するとともに、マーケティングへの応用例やツールについてご紹介します。

3つのレベルがある現在のAI

ひと口にAIといっても、厳密な定義が存在するわけではないので、そのレベルは様々です。中には、AIをトレンディなワードとして捉え、人の目を惹くために使っているのではと思しき例すらあります。また、技術的に確立したものであっても「脳の仕組みを模して人間と同じことや、人間に取って代わることができる」ということではないのです。

それを踏まえた上で現在のAIについて説明すると、大きく分けて以下の3つのレベルがあるといえます。

  1. ルールベースのAI
  2. マシンラーニング(機械学習)によるAI
  3. ディープラーニング(深層学習)によるAI

1.ルールベースのAI

ルールベースのAIとは、たとえば、質問に「はい」、「いいえ」で答えていくと、ある結論にたどり着くような性格や病気の診断を高度化したもの、と考えられます。特定分野に関する人間の知識(ルール)をデータベース化してコンピュータに与え、それに基づいて推論やアドバイスが行われるようなイメージです。かつては、専門家(エキスパート)が持つノウハウをコンピュータで活用することから、エキスパートシステムとも呼ばれました。

2.マシンラーニングによるAI

また、マシンラーニングによるAIとは、ちょうど子どもが様々なことを学ぶうちに家庭や社会のルールを見出していくように、コンピュータが与えられたデータセットに潜むパターンやルールを自ら見つけ出し、新たなデータセットにそのパターンやルールを適用することで判断や予測を行うものです。しかし、データの中で注目すべき部分や、パターンやルールを検出するためのフィルターなど、様々なお膳立てを人間が手作業で行う必要があります。

3.ディープラーニングによるAI

さらに、ディープラーニングによるAIでは、コンピュータが大量のデータを独自に学習できるプログラムを組むことで、注目すべき部分の認識や検出のためのフィルターの選択なども自前で行えるようになり、人の手を煩わせずに判断や予測が行えるようになります。
実際には、ディープラーニングもマシンラーニングの応用です。しかし、人が注目点などを定めマシンラーニングではそれ以外の要素が無視されてしまうのに対して、ディープラーニングならばコンピュータ自体が重要と思えるポイントを見つけ出して利用します。そのため、より包括的な判断や予測が可能となるのです。たとえば、「耳が長い」という特徴に基づいて動物の写真データからウサギを選ばせる処理をマシンラーニングで行うと、耳の短いライオンラビットはウサギとして認識されません。これに対してディープラーニングならば、ウサギの特徴を様々な視点から割り出して、耳の長さに関わらずウサギはウサギとして区別できるようになります。

AIイメージ

マシンラーニングやディープラーニングによるAIは、与えられたデータを学習することで、そこからルールやパターンを見つけ出して判断や予測を行う

課題となるAIのデータバイアス

ただし、どのレベルのAIも、与えられたルールやデータに含まれない情報に基づく判断や予測はできません。そのため、ルールやデータが偏っていると、導き出される結果も偏ることになります。これは「AIのデータバイアス」と呼ばれ、注意を要する課題です。
典型的なデータバイアスとしては、Amazonが、過去10年分の履歴書や採用可否のデータを学習させたAIによるIT人材採用の事前選考を行なったところ、過去の採用では男性が圧倒的に多かったために、女性はIT人材には不向きと判断されてしまった事例があります。このように、学習データに依存するAIは、決して万能ではないのですが、膨大なデータの中から役に立つ知見を抽出するような用途においては高い能力を発揮する技術なのです。

AIを活用したWebマーケティングツール

では、AIをオンラインマーケティングに応用したサービス/ツールを分野別に見ていくことにしましょう。

アクセス解析

AIアナリスト

無料で使える解析ツールとして、すでに有名な存在であるGoogleアナリティクスと併用することで、アクセス解析データを自動で分析し、サイトの改善案をわかりやすく提示してくれるAIサービスです。Googleアナリティクスは、上場企業のほとんどが利用しているともいえるほどシェアの高いアクセス解析ツールで、自分/自社のサイトに、どのくらいの人が訪問し、どのページがよく閲覧されていて、どのくらいの成果が出ているかといった、マーケティングに必要な情報を得る上で必須の存在となっています。

AIアナリスト画面

AIアナリストは、Googleアナリティクスとの併用でアクセス解析を自動化し、PVなどの成果を向上するためのアドバイスを行う。

https://wacul-ai.com

サイト最適化

DLPO AI

サイトを訪問する個々のユーザーごとに、パーソナライズされたページを表示することで、実際の物品の購入につながるコンバージョンを改善するサービスです。コンバージョンの変化を見るために、ページ単位で異なるデザインやコンテンツを提示するA/Bテストや、同じくページ内のコピーや写真などの要素を変えてみる多変量テストを行うことができ、その結果に基づいてWebサイトの最適化が図れます。

DLPO

DLPOは、ページのA/Bテストやページ上の要素の多変量テストを行って、訪問者ごとに適したページ構成を見つけてくれる。

https://dlpo.jp/product

SiTest

サイト内での訪問者の行動を視覚化するヒートマップ、同じく訪問者の行動を録画(スクリーンレコーディング)して仔細に観察・分析できるセッションリプレイ、A/Bテスト、訪問者が情報を入力するエントリーフォームの最適化などを通じて、Webサイトの最適化を支援するサービスです。

SiTest

SiTestは多角的なツールを提供して、Webサイトの解析から改善の提案までを行う。

https://sitest.jp

訪問者のニーズ特定

KARTE

提供されているいくつかのツールの組み合わせによって、サイト内での訪問者の行動に合わせて、適切なタイミングで適切な働きかけができるようにするサービスです。従来は、ツールごとに管理されていた訪問者のデータを、訪問者ごとに統合的に管理できるようにして、そのニーズをより深く理解し、サービスの質を向上させることができます。

KARTE画面

KARTEは顧客体験向上の重要性を説き、訪問者データを統合的に管理管理することによって最善のタイミングで最善のマーケティング施策が打てるようにしてくれる。

https://karte.io

マーケティングプロセス自動生成

MAJIN

非対面型のオンラインコミュニケーションにおける、マーケティングの効率化を実現するためのサービスです。データに基づくサイト訪問者の心理分析によって、それぞれの興味や関心に応じた最適のコミュニケーション施策を提案し、効率的なマーケティングプロセスを自動で構築してくれます。

MAJIN画面

MAJINは消費者の購買プロセスの変化に合わせて、効率的なマーケティングプロセスを自動で構築してくれる。

https://ma-jin.jp

ヒートマップ解析

User Heat

「熟読エリア分析」、「クリックエリア分析」、「終了エリア分析」、「マウスムーブ分析」、「離脱エリア分析」の5種類のヒートマップを無料で利用できるサービスです。1サイトあたり、月間30万ページビュー(PV)までは課金なしで分析でき、それ以上のPVになると自動で計測が止まるため、安心して利用できます。

User Heat画面

User Heatは、より良いサイト設計を行うための足掛かりとなるように、Webサイト内での訪問者の行動を5種のヒートマップで提示する。

https://userheat.com/whatheatmap

ブログテーマ自動生成

ブログアイデアジェネレーター

これは、ちょっと面白いマーケティンングツールで、ブログメディアを中心にインバウンドマーケティングを支援するHubSpotが提供している無料のサービスです。HubSpot自体は日本語化されいるのに対して、このサービスはローカライズされていない英語版となっていますが、トピックのキーワードとなる名詞を最大5個入力すると、それらに関連するブログのテーマを自動的に生成してくれます。ブログは継続することが重要ですが、更新頻度を高めようとすればテーマに困ることもあるでしょう。そのようなときに、ヒントを与えてくれるという意味で、単純ながら有用なのが、このアイデアジェネレーターなのです。

ブログジェネレーター

たとえば、ベーカリーやケーキショップのブログを想定して、Bread、Sweets、Cake、Anniversary(記念日)という4つのキーワードを入力したところ、Bread : Expectations vs. Reality(パン:その期待と現実)をはじめ、Will Sweets Ever Rule the World?(スイーツは世界を席巻するか?)、The Next Big Thing in Cake(ケーキ分野で次に起こる大きな出来事)、Anniversary Explained in Fewer than 140 Characters(記念日について140字以内で解説)、This Week’s Top Stories About Bread(パンにまつわる今週のトップストーリー)という5つのタイトル案が生成された。これに沿って話をふくらませ、ブログにまとめれば良い。

https://www.hubspot.com/blog-topic-generator

まとめ

今のところ、いかに進歩したAIであっても、人間の持つ能力を完全に置き換えることはできません。というのは、現在のAIの仕組みがルールや学習に基づいているため、その元になるデータがない物事に対しては何もすることができないからです。人間の発想や発明品の中には、偶然の産物であったり、失敗した結果が別の分野の役に立った、夢で見た何かがきっかけとなってアイデアが生まれたというものがあります。しかし、そのようなことは今のAIには無理なのです。

一方でAIは、膨大なデータの集計や分析、そして、そこからパターンを見つけ出して何らかの相関関係や購買傾向の予測などを導き出すような作業であれば、巧みに効率よくこなすことができます。そのため、マーケティング担当者が施策の企画出しやキャンペーンの立案などの創造的な業務に専念できるように、サポート役をAIが勤めれば、理想のタッグとなるわけです。

もちろん、AIがサポートするとはいえ、それを使いこなす上でマーケティングに関する知識が必要だったり、本格的な運用にはそれなりの対価が求められたりします。こうした状況は今後、サービスのさらなる普及や企業間の競争によって変わっていく可能性もありますが、まだ一般的なWebクリエイターには敷居が高いかもしれません。

ホームページ作成サービス「BiNDup」のWebアプリでは、Googleアナリティクスのデータ解析をサポートするマーケティング機能SmoothGrow」が提供されているため、アクセス解析が簡単に行えます。さらに、表示された質問に答えていくだけで3つのサイトデザインを自動生成してくれるAiDジェネレーター機能があるので、ローテーションを組んでそれぞれのデザインによるサイト内でのユーザーの行動の違いを、ヒートマップサービスなどで確認してみるところから始めてみてもよいでしょう。

SmoothGrow画面

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