BtoB事業を行う企業にとって、ウェブサイトでのコンバージョンは重大な要素の1つ。効率よくサイト訪問者に自社事業をアプローチできれば、お問合せや契約に繋げられます。
今回から数回にわたり、ASCII STARTUPに掲載されたBtoB事業を行う企業が理想のウェブサイトをつくるためのノウハウの連載を紹介していきます。
実際に、法人向けにコンサルティングサービスを提供するスタートアップ企業「株式会社ミライフォース」のサイトが出来上がるまでを実例に挙げながら、Webプロデュースを本業とする専門家がステップごとに解き明かします。
第1回:サイトの根幹を支えるサイトマップのノウハウ
第1回は、サイト制作に入る前の準備。「コンセプトワーク」と「サイトマップ」です。
ウェブサイトづくりでは、ツールに向かって作業をする前に、まず「コンセプトワーク」と「サイトマップ」にしっかりと取り組みます。これらはウェブサイトの骨格にあたる重要なもので、コンバージョンアップのために欠かせないと言います。
★BiNDのサイトエディタの左に表示されているのが、サイトマップです。
目次
1. ウェブサイトの目的と方針を決める「コンセプトワーク」
2. ウェブサイトの全体像を決める「サイトマップ」
1.ウェブサイトの目的と方針を決める「コンセプトワーク」
ウェブサイトをつくる際にまず必要なのは、目的と方針を決めることです。このことを「コンセプトワーク」と呼びます。
目的の代表例
- 会社のサイトをつくりたい
- お店(店舗)のサイトをつくりたい
- 商品やサービスのサイトをつくりたい
- 事業や活動を紹介したい
- 施設や場所を紹介したい
通常、ウェブサイトには複数の目的があるでしょう。たとえば、会社のサイトとして、事業や活動を紹介したい、アクセスマップを含めたい、といったケースです。
目的が多岐にわたるほど、必要なコンテンツ(ページ)も増えます。はじめは目的をいくつかに絞ったほうが、作業が着手しやすいのでよいでしょう。その後、ウェブサイトを運用する中で、コンテンツを段階的に充実させていくのがおすすめです。
方針の代表例
- 問い合わせをしてほしい
- 資料請求や資料ダウンロードをしてほしい
- 見積り依頼をしてほしい
- お店に来店してほしい
- 商品やサービスを購入してほしい
一般的に、方針という言葉はさまざまな意味で使われますが、ここでは「ウェブサイトを見に来た人にしてほしいこと」と考えましょう。つまり、目的は「こちらから伝えたいこと」、方針は「ユーザーに達成してほしいこと」です。
実例:ミライフォースの目的と方針
この連載では「株式会社ミライフォース」という会社を例に、
コーポレートサイト(会社や事業内容が中心)
中途採用サイト(スタッフの採用情報が中心)
の2つのサイトを作るために必要な作業を解説していきます。
まず、コーポレートサイトについて、目的と方針を次のように定めました。
- 目的
- 会社のサイトをつくりたい
- 事業や活動を紹介したい
- 方針
- 問い合わせをしてほしい
- 資料請求や資料ダウンロードをしてほしい
一般的なコーポレートサイトのように、会社情報と事業内容を軸にしたサイトとし、日常の活動は「お知らせ」として伝えることにしました。
方針としては、ユーザーに問い合わせと資料ダウンロードをうながすことにしました。問い合わせは、シンプルに入力フォームで受け付けます。資料ダウンロードでは、実績などをまとめたPDFを用意することにします。
なお、ユーザーに達成してほしいことを、専門用語で「コンバージョン」(Conversion)や「コールトゥアクション」(CTA)と表現することがあります。コンバージョンは、英語の「転換」という意味。
問い合わせや資料請求を通じて、潜在顧客(見えないお客さん)から顕在顧客(見えるお客さん)に変わる、という意味です。コールトゥアクションは文字どおり、ユーザーに対して行動を求めること。
ウェブサイトでは、伝えたい情報だけなく、ユーザーに達成してほしいことをきちんと決めておくことが大切。ウェブサイトの成果としては、ページを何回見てくれたかよりも、問い合わせや資料請求が何回寄せられたかという具体的なユーザーアクションのほうが大切です。
なぜなら、ページをたくさん見てもらっても、ユーザーに対して個別に連絡をしたり、要望を聞くことはできません。一方、問い合わせや資料請求をしてくれた人には、これらの接点づくりが可能であり、ビジネスに貢献するのは後者のような取り組みだからです。
2.ウェブサイトの全体像を決める「サイトマップ」
ウェブサイトの目的と方針が決まったら、次に着手するのは「サイトマップ」です。サイトマップは「このようなコンテンツを用意する」というリスト(一覧)です。
通常は、スプレッドシートにまとめます。コンテンツ(ページ)を行とし、列には
- ページタイトルとフォルダ階層
- 主な内容
- パス(フォルダ名)
- 写真
- 原稿
といった項目を用意しておきましょう。
それぞれの情報は、この段階では本決まりではなくても構いません。特に、写真や原稿については、個々のページの中身をつくる段階にならないと、なかなかイメージが湧かないかもしれません。このような場合でも、ひとまずサイトマップに列を用意しておけば、「あとで必要になる」「まだ不足している」と認識できます。
なお、複数の人間がウェブサイトづくりに関わる場合には、そのコンテンツや作業の担当者欄を用意するのもよい方法です。
実例:ミライフォースのサイトマップ
株式会社ミライフォースでは、次のようなコーポレートサイト用のサイトマップを用意しました(ドキュメント作成のクラウドサービス「Google Drive」を利用)。
ミライフォースでは、上記で挙げた列のほか、「テンプレート」と「ベンチマークURL(参考ページ)」を追加しています。
テンプレートは、BiNDクラウドで利用できる新テンプレートから選んでいます。こちらのページを参考にしてください。
ベンチマークURL(参考ページ)は、コンテンツの方向性や中身を考えるにあたって参考にしたい、ほかのサイトのページです。コンテンツは自分たちで額に汗して考えるのはもちろんが、よいページからエッセンスを学ぶことも大切です。関連する言葉で検索して、参考になりそうなページを見つけましょう。
さて、コンセプトワークとサイトマップの準備がひと通り終わったら、BiNDクラウドのアカウントを作ってみましょう。
次回予告
連載第2回では、事業に合ったサイトを作るためのテンプレートの選び方を具体的に解説。BiNDクラウドの豊富なテンプレートから好みのデザインを選ぶコツを身につけ、スムーズにサイトづくりに入りましょう。また「AiDジェネレーター」から目的に合わせてサイトを自動生成する方法もカバーします。
※記事はASCII.jpより転載
POINT
- サイトを作る前に、目的と方針を決める「コンセプトワーク」必ず行う
- 最小限で作って、運用していく中で段階的に充実させていく
- ページビューより問い合わせや資料請求などの接点作りが大切