動画時代に乗り遅れることなかれ。動画を使ったプロモーション事例集
2014年は「動画元年」と呼ばれ、多くのインターネット動画広告が注目を集めました。2014年の動画広告市場は、300億円規模を越え、<前年比約2倍>となったという調査結果もあります(※)。その背景には、スマホの普及、Wi-FiやLTEによる高速インターネット視聴環境の充実などがあると言われています。
※サイバーエージェントとシード・プランニングによる市場動向調査より
Web動画は、TVCMと比べてSNSなどで拡散されやすく、話題になると1000万回再生以上と大きな反響を呼ぶ動画も出てきています。
動画のメリットは、商品やサービスの理解を深めやすい、使っている様子を具体的にイメージさせやすい、操作方法が分かりやすく説明できる、などさまざま。また制作の裏側を描いたドキュメンタリー動画ならば、共感を呼びファンの獲得に繋がることも。このように訴求力が高いだけでなく、画像や文字に比べ視線を集めやすい動画は、プロモーションに向いていると言えるでしょう。
では、実際にどんな動画広告、動画コンテンツが企業のプロモーションとして活用され、話題になっていたのか、いくつか事例を紹介します。
ドッキリ動画
Web動画のトレンドのひとつが、ドッキリ動画です。ペプシやコカ・コーラといった世界的企業もドッキリ動画を公開しており、グローバルで注目を集めました。ドッキリ動画は、ストーリーやコピー(言葉)に頼らない表現なので、言葉の壁も超えやすく、強く印象に残るといった特徴もあります。
たとえば、家電メーカーのLGは、高精細な大型液晶テレビを使ったドッキリ動画を公開し1700万PVを記録。動画のタイトルは「Ultra Reality: 」で、部屋の窓にあたる部分に高精細なテレビをはめ込み、タイトル通り窓の外の風景を現実と錯覚させるドッキリを仕掛けています。ドッキリを仕掛けられるのは、面接に挑む人。仕掛け人である面接官の背後にある窓で、高層ビルから見える都市の風景にやがて上空から突如隕石が落下、衝突の衝撃で土やビルの破片がビルの窓に迫ってくるという大がかりな仕掛けでした。
商品の特徴である「高精細」さをアピールしつつ、ドッキリ作品としてエンターテイメント性のある動画となっています。
すごい!動画
YouTubeなど動画投稿サイトでも人気の「驚異の身体能力」を発揮した動画。特に長く人気を集めているのが「パルクール」です。パルクールは、柔軟な動作であらゆる地形を自在に走り抜ける運動で、「フリーランニング」とも呼ばれています。街中にある壁や障害物を軽々と忍者のように動きまわる姿は疾走感があり、アクション映画やCMなどでも使われています。
そんなパルクールと、日本ならではの「忍者、女子高生」という2つのキーワードを組み合わせたのが、サントリー「C.C.レモン」のWeb動画。女子高生が教室でスマホで撮り合ったような主観映像、アクションカメラを使った臨場感のある映像、そしてビルの上から飛び降りて忍者のように着地する女子高生の姿がインパクトを与えました。忍者ならではの「まきびし」「けむり玉」なども登場し、海外からの反応も大きく、公開1週間で400万PVへ届くほどの拡散力で広まりました。
パルクールは真似できませんが、前を向いたまま後ろにあるゴミ箱にゴミを投げ入れるなどのチャレンジ系も人気です。チャレンジ系は何回も挑戦して成功した映像だけ使えるので、挑戦しやすそうです。「すごい!」とSNSへ反射的に拡散したくなるような動画を目指しましょう。
集団ダンス動画
動画投稿サイトでも世界的に流行した「フラッシュモブ」。街中にいる人々が突如踊りだす様子は、何度見ても壮観です。フラッシュモブ人気もあってか、集団でのダンスは、結婚式などでも定番のコンテンツとなっています。そして、企業の動画プロモーションにもたびたび使われています。
百貨店の伊勢丹は、オフィシャルソング「ISETAN-TAN-TAN」を世界各国のスタッフダンサー約500名が百貨店内で次々と踊る動画を公開しました。作詞・作曲は矢野顕子、振付・演出はPerfumeや数多くのCMを手がけるMIKIKO。伊勢丹のブランディングの一環として大きな注目を集めました。
さらに、権利者がダンス動画の投稿を募集するケースもあります。有名なところでは、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」。一般消費者だけでなく、サイバーエージェントやサマンサタバサといった企業、市役所なども参加しました。AKBの公式ミュージックビデオ動画は7400万再生、投稿動画も500万再生を越える動画もあります。
空撮動画
首相官邸や埼玉スーパーアリーナへの落下で注目が高まる小型無人機「ドローン」。重要施設周辺空域での利用規制などが議論されていますが、近年クリエイティブの世界では“今までに撮れなかった”映像が気軽に撮れるようになったと注目されています。
なかでも注目を集めたのが、アメリカのロックバンド「OK Go」の「 I Won’t Let You Down」のミュージックビデオ。メンバー4人と2000人を超えるというエキストラがパラソルを広げたり閉じたりして描く模様や文字を頭上から撮影した映像は、世界中に衝撃を与えました。再生回数は2100万以上。
大企業でなくても動画プロモーションは挑戦できる?
このように、企業や商品・サービスの魅力を伝えるうえで、動画という選択肢が積極的に選ばれるようになってきました。上記で紹介した事例は、いずれもプロによる仕事です。ならば予算がなければ動画は作れない?いえいえ、そんなことはありません。
ドローンは数万円から購入できますし、動画編集も数年前と比べればぐっと身近な存在になりました。また、スマートフォンでも十分高画質な映像は撮れます。企画にはよりますが、一般的にTVCMと比べて制作コストを抑えることが可能です。
たとえば、動画作成ソフトでは、デジタルステージから「PhotoCinema(フォトシネマ)」が5月28日に発売されます。お店の自己紹介ムービーから、結婚式などのパーティー用動画、子どもの成長記録などが、テンプレートを使って簡単につくることができます。
Web動画は、視聴環境の充実、スマホやSNSによる拡散、機材などの制作コストの圧縮により、挑戦しがいのある環境になっています。
動画元年を迎え、ますますSNS上でも動画コンテンツが求められているいま、動画作成に挑戦してみてはいかがでしょうか。
POINT
- 2014年は「動画元年」と言われ、企業の動画プロモーションが盛んに。
- SNSでの拡散などにより再生数アップも期待大。何千万回も再生された動画も。
- 動画作成は大企業でなくても(予算がなくても)挑戦できる環境、ツールが揃っている。