これまでの連載コラムで、コンテンツマーケティングにおける動画の重要性をご理解いただけたかと思います。しかし、動画の大切さはわかったけれども、それを継続的に作って公開していくのは、また別の話だと思っている方も少なからずおられるでしょう。
まずは2回にわたって、誰でも魔法のように簡単に魅力的な動画を編集できるアプリを紹介し、3回目で意外な使い方を含む360動画の撮影や編集について書いていくことにします。
▼コンテンツマーケティングのおさらい
スマホの動画を編集するのにお勧めのスマホアプリQuik
まず、今回はiOS版とAndroid版の両方があり、スマートフォンのカメラ機能で撮った映像を直接編集できる”Quik”(英単語の”Quick”の”c”が抜けた綴りですが、同じく「クイック」と読みます)を採り上げます。Quikは、アクションカメラで有名なGoProからリリースされており、同社のカメラはもちろん、一般のデジタルカメラから転送されたデータを編集することも可能です。また、アプリ内課金のない完全に無料なので、全機能を安心して利用することができます。
多くのユーザーはスマートフォンをカメラ代わりに使っていると思いますし、最近のスマートフォンは十分にパワフル、かつタッチ操作で楽に編集できるメリットもあり、コンピュータの前に座らなくても空き時間に気軽に映像編集を行えることから、本業の仕事でお忙しい方にも頻繁にコンテンツ動画の追加や更新ができるところがポイントです。
詳しい説明の前に、Quikの概要紹介動画をご覧ください。
同じ素材でもテーマ次第で変わる動画の印象
最初に、自前の素材とQuikを使って編集した動画を2つ掲載します。1つめは、Raw、2つ目はSunnyというテーマです。
▼Rawテーマに基づく動画です。
▼Sunnyテーマに基づく動画です。
これだけでも印象はまるで別物ですが、Sunnyでは、映像自体も自動で少しだけ明るく淡い感じに調整され、陽光にあふれたイメージになっていることに注目してください。
Quikにはこうしたテーマが26種類も用意されていて、さらに季節やアクティビティに応じた300MBものフリー音楽素材や自分の音楽ライブラリからBGMを選択できるため、たとえ素材が同じでも無限とも思える組み合わせを試すことが可能なのです。
ちなみに、クルマの走行シーンはQooCamという360度カメラで撮り、専用アプリで編集したものを使っていますが、これについては次々回で採り上げます。
続く説明は、こまごましているように感じるかもしれませんが、実際には素材を選択して、基本画面から保存するだけでも、そのまま利用できるほどクオリティの高い動画ができあがります。気になるディテールを修正する際の参考程度に、読み進めてください。
映像の特徴的な部分を自動抽出
Quikの編集が短時間で済むのは、選んだ映像素材のハイライト(特徴的な部分)をアプリが自動的に検出して並べてくれるためです。もちろん、ナレーションなど、端折られては困る場合には、使いたい部分を手動で設定することもできます。実際に、目的のある動画を編集する場合には、両者を組みわせて使うことになるでしょう。
Quikで利用する素材動画を撮るときの注意点としては、長くなりそうなシーンは比較的短めのカットに分けて撮影することです。そうすると、自動でも手動でもハイライト設定が行いやすくなります。
Quikで簡単!動画編集の仕方
初期画面の+マークをタッチして編集作業を始めます。するとスマートフォンの写真アルバムが開き、素材の選択画面になるので、ビデオなどの使いたい素材が入っているアルバムを選びます。最近の動画編集アプリでは珍しくありませんが、後からの追加もできるので、とりあえず基本の流れを作るつもりで選択してください。
ビデオ素材の選択画面です。このとき、タッチして選択された素材のサムネールが青みがかり、ひと目で区別できるようになります(もう1度タッチすると選択解除です)。選択中のサムネールの数は、右上の「追加」ボタンの( )内に表示されますが、選び終わったら、このボタンをタッチしてテーマ設定などが行える基本画面に移ってください。
また、選択されたサムネールには、”HILIGHT”というラベルが付きます。この部分をタッチするとハイライトの設定画面になり、素材を再生しながら、ここは含めたいという箇所で青い丸ボタンにタッチするだけで、1本の素材動画の中に複数のハイライトを設けることが可能です。
何もしなければ、アプリが自動で特徴的な部分を自動抽出して最終的な動画内にバランス良く並べてくれるので、最初はアプリ任せで作ってみてもよいでしょう。
サムネールの”HILIGHT”というラベル部分をタッチするとハイライトの設定画面になり、素材動画を再生しながら見せたい部分で青い丸ボタンにタッチすることで、複数のハイライトを設けていくことができます。
ハイライト設定済みの箇所には、白い丸のマーカーが付きます。マーカーを左右にずらすとハイライト位置の調整ができ、下にドラッグすると自動で現れるゴミ箱に移動して削除することも可能です。
“OK”をタッチして、素材選択の画面に戻りました。適宜、他の選択済みのサムネールについても、必要があればハイライト設定を行い、右上の「追加」ボタンをタッチしてください。
自動でタイトルが付くので編集しやすい
Quikで面白いのは、素材選択を終えてテーマ設定などを行う基本画面に移動すると、自動でタイトルが付いていることです。これは、素材撮影の日付やGPS位置情報などから設定されるもので、手間は省けますが、意図とは異なる場合もあるでしょう。その場合は鉛筆アイコンをタッチすれば、自分で編集することも可能です。
いずれにしても、アプリが選んだテーマで自動再生が始まるので、一度、全体を見て流れを確認したり、別のテーマも試して、しっくりくるものを選ぶとよいと思います。
テーマ設定などを行う基本画面に移動するとタイトルが自動的に付加されています。
前の画面で鉛筆アイコンをタッチすると編集画面になり、テキストボタンのタッチでタイトルの編集も可能です。
見せたい部分を手動で調整する
同じように、素材の見せたい部分を変更したい場合には、対象となる動画の鉛筆アイコンをタッチしてください。すると、次の画面のハイライトボタンでハイライト箇所を変更したり、トリミングボタンで長さや自動抽出された箇所を変えることができるようになります。
ある程度の長さがある素材は、アプリのほうで特徴的な部分を抽出してしまうので、全体を使いたい場合にはトリミング画面で「バランス」から「手動」に切り替えて調整を行いましょう。
動画の鉛筆アイコンをタッチすると、元の素材の調整ツールを呼び出せます。
長さや自動抽出された箇所を変える場合には、トリミングボタンをタッチしてください。
最初の素材選択のときにハイライト機能を使わなかった場合、緑の下線箇所のようにアプリがシーンの自動抽出を行った結果が表示されます。
「バランス」は自動抽出モードを意味し、これを自分で設定し直す場合には、「手動」に変えて調整していきます。「アクション」より右の選択肢は、GoProのカメラで撮影した映像データのみに有効です。
なお、基本画面で、スパナのアイコンを選ぶと、動画のフレームを、横長ワイドの「シネマ」、「正方形」、スマートフォンで縦撮りしたような「縦向き」の3種から可能となります。それぞれ画角が変わり、トリミングされる場合もありますが、撮影時と異なる見せ方をしたい場合などに活用してください。
フレームのサイズ設定やロゴを消すことも可能
撮影時とは異なるフレームも、シネマ、正方形、縦向きの3種類から選択できます。
さらに、デフォルトでは、編集後の動画の最後にQuikアプリのロゴが挿入されてしまいますが、これを削除することも可能です。基本画面で、下段の動画アイコンをタッチすると、選択されている素材にゴミ箱ボタンが表示されるので、ロゴ部分を選んでからゴミ箱ボタンをタッチし、表示された画面で無効にします。
最後に付加されるQuikのロゴが不要であれば、基本画面でロゴ部分を選び、ゴミ箱ボタンにタッチします。
すると、ロゴの表示/非表示の設定画面が表示されるので、「無効にする」ボタンにタッチしてOKします。無効にしても削除されるわけではないので、いつでも表示状態に戻すことが可能です。
映像のBGMは自動設定のほか自分で設定も可能
BGMは、テーマごとに自動選択され、そのままでも十分ですが、これを手持ちの音楽を含む別の曲に切り替えたいときには、基本画面で音符アイコンをタッチします。
季節やアクティビティの種類をごとに用意された楽曲の候補以外に、再生中の楽曲名の下に表示される「+」アイコンのタッチで音楽ライブラリを呼び出すことも可能です。ただし、個人での利用を除き、著作権で保護された楽曲を使った動画を許可なくWebサイトなどで公開することはできませんので、Quikで用意された300MBの無料ライブラリをダウンロードして利用するほうが自由度は高くなります。
基本画面で音符アイコンをタッチすることで、BGMも変更することができます。
編集作業が終わったら、基本画面の「保存」ボタンで最終的な書き出しを行います。様々なSNSに直接アップロードして共有できるほか、リンクをコピーしてメールやメッセージで送信したり、デバイスの写真アルバムに保存することも可能です。自分のWebサイトで利用する場合には、YouTubeにアップロードして、その動画をページに埋め込むとよいでしょう。
同じ素材でテーマを変えて作った場合の例
最後に更なるテーマのバリエーションを見ていただくために、まったく同じ素材を用いて、Tinted、Swell、Sreneのそれぞれのテーマを選んだ場合の作例を掲載しておきます。BGMも、個々のデフォルトのままですが、ここまでテイストが変わるのかと驚かれることでしょう。
▼Tintedテーマに基づく動画です。
▼Swellテーマに基づく動画です。
▼Sereneテーマに基づく動画です。
まとめ
いかがでしたか? まったく同じ映像素材を使っても、異なるテイストの動画ができあがることがおわかりいただけたかと思います。このように、Quikを使うことで、Webページのスタイルやセンスに合った動画を用意したり、逆に少しいつもとは違う雰囲気の動画を作る際の手間を格段に減らすことができ、その分、素材の準備や撮影により多くの時間をかけて質を高められるのです。
コンテンツマーケティングには動画が有力ですが、その動画さえできてしまえばサイトへ組み込むだけ。ホームページ制作サービスの「BiNDup」は、YouTubeとの連携はもちろん、直接サイトに動画を貼り付けることも簡単。すでにWebサイトの運営をされている方も、ぜひ挑戦してみてください。
次回は、商品紹介などに適した自撮り系の動画編集アプリを紹介します。
BiNDupの動画の機能を見る
POINT
- 動画編集は、パソコンにデータを移す必要のないスマホアプリがお勧め!
- Quikは、映像素材のハイライト(特徴的な部分)をアプリが自動検出してくれるから便利
- タイトルや映像も検知し自動で入れてくれるが、後から自分で変更も可能