個人店舗のオンラインショップやメーカーやブランドの直販サイト(D2C)など、コロナ期を経て、一段とオンラインショップを利用する人、そして運営する企業が増えています。一度ビジネス化すれば、成長に従って新しい機能が欲しくなったり、最新のマーケティングなども取り入れたいと考える担当者が増えてきているのではないでしょうか。
ECサイトに必須なショッピングカート(ECカート)を中心とする機能には、機能提供レベルや使い勝手、料金などは幅広くあり、ビジネス形態にあったものを見つけるには一苦労です。ここでは、年商 数百万円〜1億円程度を目指す幅広い規模のECを視野に、ECカートの選び方を紹介します。
→Shopifyによる法人向けECサイトの構築・運用はBiNDecにおまかせ
ECカートの基本機能とは?
ECカートとひとくちにいっても、さまざまな付加機能がついたサービスが一般的になっています。商品紹介のページデザインから、オンライン決済、出荷管理、アフターフォローまで、どこからどこまでをECカートの基本機能とするかは実に曖昧です。
まず、ざっくりと一般的なEC業務における役割とワークフローをみてみましょう。
EC業務のワークフロー
EC業務をワークフローでざっくりまとめると次にようになります。
- 調査・マーケティング
- 商品計画(品揃え、入荷など)
- 商品情報制作(写真や文章など)
- サイト制作(商品サイト、ランディング、決済システムなど)
- ECサイトで受注
- 物流
- カスタマーサポート(FAQ、返品、トラブル対応)
ECカートの端的な機能は、「⑤受注」のフロント側(お客さんが注文するサイトの部分)になります。
ですが、スムーズに購入を完了してもらうためには、「④サイト制作」も密接に関わりますので、だいたいは、サイト制作を統合的に扱えるサービスが一般的です。「①マーケティング」も広告からのランディングやSNSショッピング、クーポンなど幅広いキャンペーンがあることから、これらのサービスに次々対応するサービスもあれば、そうでないところもあります。
また年々、商品がいつ届くのかなども競争が激しくなっています。の物流の効率化も求められており、その点では、「⑥物流」にまで広がっており、ECシステムで受注後の物流管理ができたり、倉庫連携をするというところまで対応せざるを得なくなっています。「⑦カスタマーサポート」は、購入前後に利用され、返品システムまで自動連携されるAPIも出てきています。
また、「⑤受注」については、D2CはOMO※といった流れから、リアル店舗や倉庫との統合管理ができるPOSレジなども利用が進んで、オンラインとリアルが連携した在庫管理が行われることも珍しくなくなってきました。
※OMOとは、実店舗とオンラインショップの境界がなくシームレスに購買できる仕組みのことです。
このような状況から、ECカートを新しく選ぶ際は、次にような視点も持っておくことが必要です。
- 広告運用やランディング、集客メール、クーポンなどが手軽に利用できるか知っておく
- 実店舗との連携をする場合は、それを可能にできるECカートを選ぶ
- 受注から再購入など、顧客管理をどのレベルでできるか知っておく
- 物流倉庫の有無、発送業務を誰がやるのか、外注するのか、その場合はECサイトと接続可能か知っておく
→Shopifyによる法人向けECサイトの構築・運用はBiNDecにおまかせ
ECカートの主なタイプと特長とは?
現在、ECカートには大きく、モール型、ASP型、サーバーインストール型の3つに大分できます。
モール型
街のショッピングモールのように、楽天市場のような大きなECプラットフォーム(ECモール)にテナントとして出店するECサービスです。最近では、アマゾンマーケットプライスのように、個人や法人のメーカーや小売業者が直接出品者となってで販売できる、マーケットプレイス型もあります。
ASP型
ASP(Application Service Provider、Saas/Software as a Serviceもほぼ同義)とは、ソフトウェア機能をインターネットを介して提供するサービスのことです。ASP型カートは、サーバーの構築などが不要で、パソコンからブラウザでWebサイトをい開き、ECサイトの構築・運営ができるタイプのサービスです。サービス内容は個人向けから大規模サイトに対応するものまで幅広くあり、利用者の幅、数とも主流のタイプです。
サーバーインストール型
ソフトウェアを時前で用意したWebサーバーにインストールし、ゼロからECサイトの構築を行うタイプのECカートです。どんなページを作成し、決済サービスを組み込むかなども柔軟に対応できたり、データベースやサーバーも自由に選べることも多いため、大規模ECにも向いています。もちろん技術者が対応できることが前提です。
続いて、それぞれのタイプの代表的なサービスを交えながら特長やメリット、デメリットを紹介していきます。
→Shopifyによる法人向けECサイトの構築・運用はBiNDecにおまかせ
モール型は集客の期待や難易度が低さがメリット
モール型ECカートの代表例は楽天市場や、Yahoo! ショッピングです。
また、Amazonではマーケットプレイスの機能を利用して個人や法人が販売している場合もありこれもモール型に含まれます。最近ではモール型と似た個人間ECの、メルカリやラクマを利用して売買を行う人もいます。メルカリではマーケットプレイス型でメルカリShopsをスタートしています。
モール型のメリットは、集客をモールの知名度やキャンペーンに頼れることがあります。知名度や宣伝力がないECをはじめたばかりの場合も、モールの検索機能やキャンペーンなどから自社の商品に気づいてもらい、購入につながることが期待できます。既存顧客が多いため会員登録などの手間がないので、独自サイトで購入する時より顧客もハードルが低くなります。モール側の営業担当者がつくと、売りやすくなるキャンペーンやPR広告などについてのアドバイスがもらえることもあります。
もうひとつのメリットは何より、サイトの構築がほとんど不要で、決済システムもセキュリティも非常に優れた会員情報管理も、モール側から提供されることです。物流についても最新のサービスを利用できるケースもあります。
デメリットとしては、知名度がある程度があがってきた場合に、モール内に同業者が多いとSEOで上位に上がりづらくなる、検索で金額が一覧できるためオリジナル商品以外は金額勝負になってくる面がある、月額手数料がそれなりにかかるため成長の足かせとなる、デザインの独自性が出せないなどがあります。
始めやすいため、まずはモールと自社ECの両方を併走させる人も多いようです。
→Shopifyによる法人向けECサイトの構築・運用はBiNDecにおまかせ
楽天市場のトップページ。出店プランは、月額19,500円から
ASP型は幅広い選択肢があり、成長を目指す際もおすすめ
中小規模で自社ECを立ち上げるならばモールと並行して選択肢となるのがASP型です。個性が出せないモール型と異なり自社のブランドが押し出しやすいこと、独自のURLを持ってサイト運営できること、構築や運用のレベルは易しめなものが多いので技術者がいなくてもWeb担当者、EC兼務担当者などが始めることもできます。
ASP型はデザインがある程度決め打ちになります。商品ページのデザインは、テンプレートのカスタマイズができるか、テンプレートが何種類あるか、有料テンプレートはどんなものかなどで、サイトの印象はほぼ決まってきます。ドンピシャなものがあれば安価にサイトができあがりますが、特定のデザインイメージがある場合は、実現可能なのか事前に調べておく必要があります。
カートデザイン、決済ページのデザインは、使い勝手などでASPごとの特長が出る部分です。離脱を防ぎたい、クーポンを使いたいなど、マーケティング上の希望があれば、選択する際には目的の機能があるかどうかはチェックしておきたいところです。ランディングページに1商品だけ置いてすぐに購入のボタンを置くなどのスペシャルページを作る機能がないASPは意外に多いようです。
以下に、ASP型の主要なサービスをいくつか紹介します。
10年連続流通総額No.1の「MakeShop」
2004年にスタートしたGMOメイクショップ株式会社が運営するオンラインショップ構築ASPです。豊富なテンプレートを備えECに必要な多数の機能があらかじめ揃っています。月額費用が11,000円で定額のため、売上が増えるほど手数料が増えるという心配がありません。有料のBtoB向け拡張機能も用意されています。物流代行にはGMOグループの「MakeShopロジ」といったサービスもあります。
MakeShopのトップページ
低価格の定額制で定評もある「カラーミーショップ」
GMOペパボ株式会社の運営する「カラーミーショップ」も、2004年サービス開始のよく使われているAPS型サービスです。HTMLとCSSで自由にページのカスタマイズも可能です。月額が4,950円からなので、スモールスタートをしてみたい場合も安心です。WordpPressのサイトに商品ページを構築したり、Instagramショッピングを利用するデータ連携、など、ある程度操作するための知識は必要ですが、拡張性も期待できます。物流サービスにアプリとしてロジモプロがあり、カラーミーショップの提携先倉庫からの出荷が行うサービスも提供しています。
カラーミーショップのトップページ
スマホでも運営できる「BASE」
スマホでもECショップができることが売りのBASEは、2012年のサービススタートです。月額無料プランはサービス利用料が購入金額ごとに3%かかりますが、最近は月額5,980円でサービス利用料はなし、決済手数料を2.9%と業界最安値のプランも打ち出しています。簡単に、運用をすべてスマホでという場合の選択肢として人気ですが、定期購入(サブスクリプション)やInstagram連携、プロモーション機能、セール、クーポンといった売るための手法や機能も充実しています。実店舗との連携については、BASEではPOS連携をする場合は「スマレジ」の連携アプリを使うことが前提です。
BASEトップページ
月額業界最安値、2分ではじめるSTORES
STORESはネットショップ開設をはじめ、POSレジ、キャシュレス決済、オンライン予約システムなどを展開している企業です。ショップサービスSTORESは2014年にサービス開始。月額は、月額フリープランで決済手数料5%の場合と、スタンダードプランで月額2,178円に決済手数料3.6%の場合があります。STORESは独自のPOSレジ「STORESレジ」があり、実店舗との在庫・注文の一括管理をSTORESで実現するほか、ファッション系モールで日本シェアナンバーワンのZOZOTOWNとの連携もあります。
STORESトップページ
ASP型はまだまだたくさんのサービスがあります。それぞれのASP同士でしのぎを削り合っていますが、最新の機能がどのサービスに入るのか、また追随してくれるのかなどはサービスまかせになります。
たとえば、InstagramやTikTokなどで人気のライブコマース、定期的にお届けするサブスク販売、次々と出てくるマーケティング手法にすばやく対応したり、マイクロウェブサイトを作成して、ランディングからすぐに購入できるようなUXを実現できるかなどをユーザーが必要としても、サービス側に期待するしかありません。今後EC成長を目指す企業で、サービスが足りないことや仕様不足があれば、別サービスへ乗り換えが必要になる可能性には十分注意しないとなりません。
自由度が高いが技術力も必要なサーバーインストール型
サーバーインストール型は、ソフトをインストールしてサイトを設計していくタイプで、サーバーを準備したり、構築する知識が必要なため、専門のWeb制作会社などに構築依頼をするのが前提になりますが、技術者が常駐する場合はランニングコストが良いというメリットがあります。今回は詳しくは割愛しますが、中規模以上のECサイトで、自社サイトとの連携したECから、だれもが知る大規模なオンラインストアでも利用されています。サーバー構築型ではEC-CUBEやecbeing、ebisumartなどが利用されています。EC-CUBEは利用者が多く、その要因としてライセンスがGLPで利用すれば利用料は無料ということがあげられます。
EC-CUBEトップページ
柔軟さと拡張性を備えるASP型の「Shopify」に注目
さて、サーバー構築型のように柔軟な拡張性が可能であり、ASP型のように手軽に始められるという特性を併せ持ち、人気急上昇中のECカートがShopify(ショッピファイ)です。Shopifyは2006年にスタートしたオープンソースのECプラットフォームで、ウェブサイト全ての43%が使っているというオープンソースのCMSであるWordPressのように、EC界のWordPressのような存在です。
2022年現在、世界のEコマースサイトの全体の約20%は、Shopifyになっていると言われています(参考記事:https://trends.builtwith.com/shop)。日本では2019年には前年比200%越える利用率の伸びを記録し、利用するサイト数が増え続けています。
Shopifyのトップページ
→Shopifyによる法人向けECサイトの構築・運用はBiNDecにおまかせ
Shopifyがこれだけ使われている理由は、SaaSでありながら月額1ドルからでも始められる気軽さと、イベントのような大量アクセスも捌けるインフラの強さ、そして、世界中の開発者が提供する8,000以上のアプリを活用することで、ECサイトの機能追加やカスタマイズにおいては、ほとんど実現できないものはない状態になっていることがあるでしょう。
サイト立ち上げ時の構築にはEC構築事業者に相談するほうがいいですが、個人規模ならご自身で立ち上げ・運営する人もいるなど小規模から大規模なECをカバーできるのも魅力。また、無料のShopifyPOSが利用できたり、技術的には基幹システムや倉庫連携といった整備、グローバルな越境ECを行う場合にも向いています。
このようにShopifyは、ひとりではじめるにも、本格的にECを伸ばしていきたい企業にもおすすめできるサービスです。
BiNDecは、ShopifyによるEC構築から運用までワンストップでサポート
BiNDupを提供するウェブライフでは、ShopifyベースのECを支援する事業「BiNDec」もスタートしています。法人向けのエンタープライズのサービスですが、Shopifyで新しいECを構築を検討されている方はぜひチェックしてみてください。
POINT
- ECカート選択には、購入前後のサービス対応を念入りにチェックすることが必要
- ECカートは3種類。モール型、ASP型、サーバーインストール型から選ぶ
- サーバーインストール型のように柔軟性が高くASP型のように個人でも使えるShopifyに注目!