2017年4月27日、東京・飯田橋にて「Webマーケティング」についてのセミナーが開催されました。
こちらのセミナーはASCII.jpが主催するスタートアップ向けのものですが、デジタルステージからデザイナーの洪が参加。
サイトを持つすべての人にとって重要なWebサイトをどう発展させていくかという課題について、Webディレクターの視点からお話ししてきましたので、レポートします。
セミナーの詳細はこちら
「Startup Proffesional 実践スタートアップに学ぶこれからのウェブマーケティング」
※このセミナーは終了しています
Webマーケティングで大切なこととは?
プロセスを大切に、商品価値を高めよう
スマホアプリの提供者が、ユーザーがスマホアプリをどのように操作をしているかを動画に残し、コンバージョン率や定着率を改善するアプリ「Repro(リプロ)」を開発・販売する平田祐介氏は、会社が今どの状態にあるかで、Webマーケティングの戦略は変えるべきと話します。
製品が完成していないシード期(種まき期)は、できるだけプロダクトの質を上げて自社のサービスの強みは何かに特化してそこに力を注ぐ。それがそのサービスのブランドになるという考えです。
プロトタイプが出始める時期になると、無料で参加できる展示会などに頻繁に参加し、そこでコンタクトが取れたお客様にDMを送るなどの方法でできるだけ予算をかけずに、継続的にアプローチし続けることがポイントと言います。
プロダクトの質が高く評価されれば、リリース後はアプローチし続けてきた会社だけでなく、繋がりのある企業などに広がり、コンスタントな商談が見込めるようになる。
その状態が続き始めた段階で、お金をかけた広告展開をする、という堅実なマーケティングのアプローチを推奨していました。
3年後に花が咲くという気持ちで、焦らず製品開発に投資すべき、というお話を聞かせてくださいました。
コンセプトを守り抜く姿勢が大切
サイト訪問者をリアルタイムに可視化し、会員登録や購買につなげるためのウェブ接客サービス「KARTE(カルテ)」を展開するプレイドの倉橋健太氏は、競合さえも乗っかってくれるようなコンセプトを作ることが、サービス拡散に一役買うと話します。
サイト訪問者の動向を知ることは、Google アナリティクスなどの無料ツールでも可能ですが、KARTEはサービスのコンセプトを「ウェブ接客」という言葉で表し、ペルソナ(ターゲットの人物像)ではなくひとりひとりの生の訪問者に合った接客をしていくことを強みとしています。
その「ウェブ接客」という言葉が広まるにつれ、サービスに賛同してくれる人を引き寄せることができたそうです。
全社員が毎日自分たちのサービスを使い、インターフェースや使い勝手にこだわることで、プロダクトの価値を高めるというマーケティングの考え方が社内全体に溶け込んでいく。
真摯にプロダクトの価値に取り組むことで、お客さんがお客さんを呼んでくるいい循環ができる、というお話を聞かせてくださいました。
時代に合わせたアプローチ方法を模索しよう
Web制作ツール「BiND」のアートディレクションを担い、社内のWeb制作全般のディレクションも自ら行う洪は、BiNDの10年の歴史の中で、Web制作ツールが担ってきた役割に変化が生まれたと話します。
BiNDが登場した2007年は、まだまだモバイルはガラケーが主流で、初代iPhoneが出たばかり。Webサイトの閲覧はもちろんPCがメインで、flashサイトの全盛期でした。
Web制作ツールは、ホームページビルダーやDreamWeaverなどのソフトウェアがありましたが、HTMLなどの専門知識なしには思うように作れず、制作ハードルが高い頃。
ある程度ハイクオリティなサイトを作るには、プロに頼むか自力で学ぶ必要がありました。
そういう状況下で、BiNDはHTMLなどの知識がなくても、デザイン性の高いテンプレートとカスタマイズ性によって専門知識がなくても思うようにサイトが作れるコンセプトでリリースしました。
2011年、FacebookをはじめとするSNSがブレイクすると、各種SNSの連携にいち早く対応するなど、時代を先取りした機能を搭載することで、Web制作ツールとしてのアプローチを強化していきました。
その後、BiNDはクラウド化し、今ではローカルアプリとクラウドサービスを同時に使える環境を提供する唯一無二のサービスになりました。
そして現在、2017年。
BiNDが提案するWeb制作ツールとは、ユーザーが「サイトを作らなくてもいい」革新的な発想です。
その背景には、スマホの普及とTwitterやFacebook等のSNSの台頭により、情報発信はよりスピーディに簡単になり、時間をかけない手軽さと成果の見える適正な運営を求められていることに注目した経緯がありました。
Webサービスとしてのポジショニングを再検討した結果、BiNDのミッションはもはや「こだわりのWeb制作を実現するツール」にとどまらず、ユーザーにどんなサイトが必要かをツール側が分析し、機械学習によって提案と改善を重ねていくツールに進化していくべきだという結論に至ったのです。
それはつまり、ユーザーが細かな「制作作業をしなくても良いツール」になるということ。
そこでこの春、その第一歩としてサイト自動生成機能の「AiDジェネレーター」が誕生した訳です。
7つの質問に答えると、要件に見合ったサイトを3つ提案。そこからサイト制作がスタート
パネルディスカッション
第2部のパネルディスカッションでは、オウンドメディアの重要性やSNSツールの活用方法について、各登壇者からコメントがありました。
そのなかで、キーワードとなったのが「グロースハック」という考え方です。
主に利用者の詳細なデータを分析しながら商品やサービスを改良させていく手法で、真に求められるサービスやWebサイトにどんどん成長させていくというものです。
そのとき、ユーザーの声や動向にヒントはあるけれどもその先の答えはないという考えのもと、本質的に重要なことは何なのかを問い続けることが重要です。それこそが、商品開発においてもWeb戦略においても、これからもっと重要になってくるとの3者のディスカッションに、皆さん頷き合っていました。
POINT
- ユーザーの声そのものではなく、本質的に求められていることに注視する
- 時代や状況に合わせて変化を加えていくことが大切
- サイトを自動生成する「AiDジェネレーター」はツール側が提案していく新発想の機能