ホームページを持ちたいけれど、社内ですべて作るのは難しい…かといってホームページに詳しい知り合いや会社も知らない。そんなとき、ネット検索すると出てくるのが「ホームページ制作の一括見積もり」サイトです。
便利そうなこのサービスですが利用すべき? それともしないほうがいいのでしょうか? ここでは、見積もりサイトのメリットとデメリット、そして、「見積もり」をクリックする前に調べておくべきことを紹介します。
「一括見積もり」のしくみってどうなっているの?
まず最初に、「一括見積もりサイト」はどんなサービスでしょうか。そこには多くのホームページ制作会社(やSIer、IT会社)が登録されていて、ホームページを作りたいユーザーが希望する依頼内容をフォームで送信すると、1〜数件のホームページ制作会社から制作の場合の見積もりが送られてきて、OKであれば実際に契約を結び、ホームページを発注できるというサービスです。
有名どころのサイトでは「ホームページ制作jp」「アイミツ」「比較biz」などがあります。専門のオペレーターが相談に乗ってホームページ制作会社を紹介してくれる「ホームページ制作jp」、BtoBを対象にホームページに限らず多業種の見積もりが取れる「アイミツ」、日本最大級の比較サイト「比較biz」など、それぞれに依頼できる制作内容やサービスの提供方法に特徴があります。他にも「発注ナビ」「ウェブタメ」などまだまだ類似サービスが存在します。
見積だけなら無料で利用できるところがほとんど
一括見積もりサイト共通の特徴は、制作を発注するサービス利用者の「利用料は無料」であることです。ですからお金の面では安心して問い合わせることができます。見積もりを依頼したあとも、基本的に断ることは可能です。その場合もキャンセル料のようなものはかかりません。
自分に合う制作業者の見つけ方
自社に合った業者を見つけるには、
- コンシェルジュ的なスタッフが、ふさわしいと思われる会社を選んで紹介してくれるケース
- 業者の件数を指定するとざっくりレベル感の近い会社から折り返し連絡があるケース
- 発注広告のようなものを送信すると、受注したい会社から折りかえし連絡があるケース
などサービスサイトによって少しずつ対応が違います。
同じようなことを繰り返し説明され質問に答えるのが嫌という場合はコンシェルジュ的な対応を選ぶのも手でしょう。
めでたく契約が成立すれば、ホームページ制作会社と直接のやり取りで外注契約や制作契約を結びます。金額を直接交渉して一括見積もりサイト外で契約するのは利用規約に違反となるので注意しましょう。
一括見積もりサイトのメリットは?
一括見積もりサイトの第一のメリットは、なんといっても星の数ほどあるけれど、どんな会社かわからない、また、ホームページ制作に必要な技術を判断できない一般のビジネスパーソンや個人でも、良質な会社をすばやく探し、紹介してもらえる点です。
二つ目のメリットは、金額が一括見積もりで複数検討することが容易なので、門外漢でも、法外な価格をふっかけられる心配がないことです。もちろん、仲介手数料も無料です。つまり、一括見積もりサイトは一般的に「コスパがいいウェブ制作会社が見つけやすい」というメリットがあると言えます。
三つ目のメリットとしては、仲介者がいることで断りやすいことです。一般的にホームページを制作する際は、最終見積もりを出すまでに「どんなサイトを」「誰に向けて」「何のために」「どのくらいのボリュームで」「どんな内容を」発信するか、決めなければなりません。いったん相談してしまうと無碍に断りづらくなることもありますが仲介者がいれば安心。ただし、サービスによって自分で断らなければならないものもあるのであらかじめ調べておきましょう。
一括見積もりサイトのデメリットは?
ではデメリットはどうでしょうか。そこで最初に確認しておきたいのは、一括見積もりサイトの収益方法がどうなっているかです。
一括見積もりサイトは、ホームページ制作会社から宣伝や仲介の見返りとして、サイト登録料や紹介手数料をもらうビジネスモデル。ホームページ制作を依頼する利用者は、制作費を払うのだから「自分がお客様」と思いがちですが、一括見積もりサービスにとっての“お客様”はWeb制作会社です。
無料という隠れたコストも考える
「仲介手数料が無料」と先述しましたが、手数料はホームページ制作会社が払っており、サービスによっては成約しなくても、問い合わせを繋いだ時点で紹介料が毎回発生するというケースもあるそうです。つまり、最終的にはそれらの隠れたコストも請求書に載せられてくるはずと考えるのが自然。一括サイトの便利さを享受するのですから当然ですが、より慎重に決めたいのであれば、一括見積もり以外も比較検討してみるといいでしょう。
低価格で提供するゆえのサービス内容の実体を見極める
一括サイトではどうしても価格競争になりがちなゆえ「低価格でも利益が出るサービスを提供する」フローができあがります。その一環が「サイト内容の決め打ち誘導」です。
「こういうホームページを作って欲しい」という要望に対して、カスタムオーダーしていては商売になりませんから、いわゆる雛形のホームページに当てはめるように勧められ誘導される可能性もなくはありません。
ホームページの実態であるHTMLは「デジタルデータ」なので何回でもコピーが可能。悪質な業者では、お客さんの要望に似た「手持ちのデータのホームページ」へ誘導して作業工程を少なくするという、データの使い回しで価格を抑えることがあり得るのです(これは筆者が以前、ある制作会社から聞いたことなのであくまで1つのケースに過ぎませんが)。もし、他社とまったく同じデザインのサイトなのに写真を1枚変えただけのサイトで数十万円も取られたら、ちょっとショックですよね。それならテンプレートを使って自分で作れたかな?と思ってしまいますね。
もちろん、そうであってもサイトが気に入り成果も上がれば問題はないですし、閲覧者に見やすいフォーマットであれば他と類似していても過度に神経質になることはありませんが、再安値の制作会社であなたの為だけのオンリーワンサイトができるというわけではないことは肝に銘じておきましょう。
つまり「無料」や「低価格」と謳われたものでも、どこかに隠れたコストは自分に跳ね返ってくるということ。それは営業色の強い担当者との対応にかかるコストかもしれませんし、結果的に思うようなサイトに仕上がらないことに対するコストかもしれません。「タダほど高いものはない」ことは覚えておきましょう。
「一括見積もり」に頼む前に決めておくべきこと
以上を踏まえて一括見積もりサービスを使う場合、事前に踏まえておくべき4点を挙げます。
- 制作技術仕様よりも内容やコンテンツがよいものかを重視すべき
- ターゲットサイトを必ず研究しておく
- 写真・デザインクオリティとビジネスの一致を理解しておく
- 予算は一回きりで考えず、継続して払える額も考える
では順番に見ていきましょう。
制作技術仕様より、提案やコンテンツがよいものかを重視すべき
低価格案件の場合、「WordPressで作って欲しい」や「Durupalを入れたい」「JSで軽いサイトにしたい」など技術仕様に関わるリクエストは、予算感が1桁、2桁ずれるため対応できないと考えるのがよいでしょう。WordPressは無料と思っている人に注意ですが、デザインやphpプログラムのカスタマイズとなれば少しの改変でも手間と技術が必要でそれは無料ではないということ。プログラムの書き下ろしは何十万から何百万円かかります。技術仕様のリクエストは、少なくとも100ページ以上の大規模サイトでなければ見合いません。
「◎◎(の技術)が使えない会社なんてダメだ」という判断などではなく、提案の内容やコンテンツに親身になって相談できるかどうかを重視してください。
同業種のライバルサイトを必ず研究しておく
いまや、ホームページ制作の目的はビジネス集客や売上アップのためという主事業の業績に直結したものだと思います。
そのとき気を付けたいのは、ホームページ制作を専門とする業者の人達はHTMLやWebのプロであって、あなたの生業とする業種のプロではないということ。
「売れるサイトにしたい」と考えるなら、まず業界で良いと評判の会社のサイトがどんなホームページかをまずは発注者のあなたが調べましょう。その結果、使い手の目線で良いところを発見できれば、サイトの発注もうまくいくはずです。
写真・デザインのクオリティとビジネスの一致を理解する
サイト制作には写真などの素材も予算に含まれるので、社内に写真素材がある・ないを始め、イラストなど新しいデザインを起こしたいのか、それにどれだけのお金がかかりそうか見積もり時にある程度考えておきましょう。
この際、自分の好みでなくあくまでお客さんに喜ばれるという視点(ビジネス視点)で決めることも重要です。ビジネスサイトは作品ではないのでサイトの良し悪しは担当者の主観やデザイナーの感性で決めるものではありません。あくまでお客さんが気に入って、好きになってくれるサイトが「良いサイト」です。
たとえば初心者向けサイトであればゆったり大きな文字を使いイラストを盛り込むとか、高所得者向けならばクオリティを感じさせる写真を用意する、などといったことを見積もり時に伝えられるようにしましょう。
予算は一回きりで考えず、継続して払える額も考える
一括見積もりサービスを検討する裏には「できるだけ安く」「短い工期で一気に」ホームページ制作を済ませたい、という気持ちがあると思います。
しかし、ホームページ作りのためには結局、掲載する情報や素材は自前で用意しなければならないがゆえに、当初の工期も予算もオーバーしてしまう、ということが多々あります。長い期間がかかる場合は、初期構築費+月額の保守費で契約するほうが有利です。
その際に避けたいのは、保守費を払っているのにツールや外注が使いこなせず、あるいは更新の時間が取れず無駄になること。
サイトは作ればおしまいではありません。基本的にホームページは更新しなければ成果は上がってこないため、継続することを踏まえ、長く付き合えるツールやパートナーを選びましょう。
自分で作るときには更新しやすいCMSを選ぼう
低価格で依頼するにしても自社での作業は発生します。工数をかけず、用意した素材で簡単に「自分で作る」のも一つです。
業種や用途別に用意されたテンプレートを上手に活用して、素材やテキストを入れ替えるだけで良いサイトが作れるクラウドサービスもあります。
読んでみて「やっぱり自分で作ろうかな…」と思った方は、ぜひBiNDupをお試しください。初年度は無料でお試しすることが可能です。
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POINT
- ホームページ制作一括見積もりサイトのメリットは安定したWeb制作会社をすばやく紹介してもらえること
- ホームページ制作一括見積もりサイトのデメリットは仲介手数料が隠れたコストとして乗っていること
- ホームページ制作の方向性やコンテンツは自社の責任で考えるべき