過去の本コラムでも触れてきたように、マーケティングにおける動画の重要性は年を経るごとに高まっています。しかし、それでもやはり、何から始めれば良いのか、どのような動画を作るべきかで悩んでいる人もあるでしょう。
ここでは、最新の動画マーケティングのトレンドについて解説し、動画の活用で人気や知名度をアップした事例を紹介すると共に、新たにAR機能が加わったApple純正で無料の動画撮影&編集アプリのClipsのポイントを紹介します。
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動画マーケティングの傾向:ショート動画のニーズ
ひと口に動画といっても、さまざまな種類があります。長いもの、短いもの。ストーリーもの、解説もの。実写、アニメーション…などなど。もちろん、動画の目的やターゲットユーザーによっても変わってきますが、最近の大きな傾向としては、まず「ショートビデオ」が受け入れられているという事実が挙げられます。
InstagramやFacebookほかのSNSで「リール動画」や「ショート動画」など、隙間時間に気軽に観ることのできるショートビデオは、実際に消費者に好まれる動画のスタイルであることが、調査で明らかになっています。
Wyzowlという映像制作会社が、オンラインの消費者とマーケティングのプロを対象として2021年末に行った調査結果によれば、製品やサービスに関してどのようなメディアを通じて知識を得たいか? という問いに対して、73%の人がショートビデオと答えました。
たとえばYouTubeに挿入される動画広告でも、途中でスキップできる長い広告と、バンパー広告と呼ばれるスキップできない6秒の広告では、後者のほうが効果的であることがわかってきています。
長い動画広告の場合、視聴者はスキップできるタイミングを待つばかりで内容に意識が向きにくいのに対し、バンパー広告では、6秒で凝縮された内容が提示されるためメッセージが伝わりやすいともいえるでしょう。
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調査でわかる動画の効果:説明ビデオの重要性
また、同じくWyzowlの調査では、96%の人が製品やサービスについてより深く知るために「説明ビデオ」を観たことがあると回答し、88%の人がブランドが提供するビデオを観たことが製品やサービスの購入につながったと答え、アプリの場合にはビデオを観た78%の人が購入またはダウンロードを行ったことがわかっています。
読まなければわからない説明よりも、手順をわかりやすく解説してくれるスタイルの動画が好まれているのです。
動画コンテンツで利用率の多い手法とメリット
動画マーケティングで利用されている動画の種類で多いものとしてWizowlの調査では、実写が多い(42%)という結果が出ています。次に多い手法はアニメーションで(33%)、スクリーンレコーディング(15%)が3位です。
とはいえ、目的によって異なる部分もあり、概念的な話をするのであればアニメーションが適していますし、アプリについて解説する場合にはスクリーンレコーディングが役立ちますから、これらの手法が適材適所でミックスされて使われているのが現実でしょう。
それでもショートビデオの場合には、手法を限定して利用するほうが煩雑にならずメッセージを伝えやすいといえますし、アニメーションと比べて手早く作れる実写をメインに構成するのが一般的です。
また、実写のバリエーションとして、YouTubeやFacebookのライブ映像も活用されています。ライブ映像のメリットとしては、撮影結果がリアルタイムで配信されることから編集の手間がかからず、またコメントやリアクションを通じて視聴者とコミュニケーションをとれることが挙げられます。
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動画SNSの利用傾向と優先度
動画マーケティングに利用するチャンネルは、Wizowlの調査では、YouTube、LinkedIn、Instagramのビデオ、Facebookが安定した強みを見せています。このうち、LinkedInはビジネス系のSNSであり、動画も、企業が自社紹介や求人のために用いられることが多く、個人商店やスモールビジネスの場合には当てはまらないかもしれません。また、TikTokは順位的には6番目ですが、Instagramのビデオと共に伸び率が顕著ですので、若年層がターゲットの場合には最優先で利用することも視野に入れるべきでしょう。
実際には、以下のグラフで合計が100%を優に超えていることからもわかるように、多くの動画マーケティングが多チャンネル展開をしていますから、余裕があれば、複数のチャンネルを利用してリーチを広げていくことをお薦めします。
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Z世代が中心のTikTokから知名度向上を果たしたバンド
SNS、特にTikTokによる路上ライブ動画の拡散で知名度を上げた例として、大阪出身のNobelbrightというバンドを挙げたいと思います。
Nobelbrightは、2013年の結成から6年間はフェスにも出られず、自力でプロモーションするしかない状況で2019年に始めた路上ライブの動画で、TikTokから人気に火がつきました。
路上ライブの様子は、観客がアップするTikTok動画の波及力もあって広がりを見せ、様々なセルフプロデュースやマーケティングも行われました。その結果、着実にファン層が広がり、今ではYouTubeの公式チャンネルでも安定した人気を誇っています。
@og358_lb86 #novelbrgiht #仙台 #路上ライブ #歌うま #walkingwithyou ♬ オリジナル楽曲 – い – おが
視聴時間の長い傾向にある360度ビデオ
なお、360度ビデオは現時点では利用率が低いものの、最後まで観てもらえる率は一般ビデオの58.2%に対して85%と高いというOmnivirtによる調査結果もあるので、興味や撮影機材をお持ちであれば、利用してみて視聴者の反応を探るのもよさそうです。
たとえば、熊本動物園のアフリカ象トレーニング疑似体験や、YOASOBIの第三章「たぶん」のティザープロモーションなどが、360度ビデオの特性を活用した事例として挙げられます。スマートフォンではスクリーンを向けた方向の様子が見え、コンピュータ上では動画の左上のボタンで見たい方向に視線を向けることができるので、試してみてください。
予算ゼロでも動画が作成できる「Clips」
さて、Wizowlの調査における、もう1つの興味深い事実は、動画マーケティング用のビデオ制作のための予算でしょう。というのは、その4割が0〜500ドルしかかけていないのです。手持ちのスマートフォンと無料のSNSでの配信を組み合わせて実質的な予算ゼロで動画制作を行なっているところも少なくないと考えられます。
そのような実写のショートビデオを簡単に作れるApple純正アプリのClipsが、最近になってアップデートを受けてAR空間機能が追加されたので、改めて基本的な使い方ともども紹介しておきましょう。
Clipsでは写真アルバムから既存の動画も読み込めますが、基本的には録画ボタンをタップし続けることでリアルタイムのエフェクトを加えながら撮影を行うことに特化しています。撮影から編集までスピーディーに完結できるので、思いついたときにTikTokなどに投稿するのに向いたアプリです。
AR空間機能を使うと、被写体となる人物の前後に様々なアイテムや特殊効果を付加できるので、人目を惹きつける動画を簡単に制作することができます。
※AR空間機能の利用には、iPhone 12 Pro/iPhone 12 Pro Max/iPad Pro(2020)以降のLiDARスキャナ付きのデバイスが必要
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BGM、エフェクト、字幕など、ショートビデオ制作に豊富な機能を搭載
Clipsでは、画面中央下の赤いボタンをタップし続けている間だけ録画が行われ、指を離すと撮影されたクリップが下端に並んでいきます。右上のアイコンから撮影時の縦横比を変えたりBGMをつけることができ、写真アルバムから既存の動画を読み込むことも可能です。
録画ボタンの右の星のアイコンをタップすると、撮影中のシーンにリアルタイムでエフェクトを加えることができます。
エフェクトの種類は左から、ミー文字、AR空間、各種フィルター、ライブタイトル、背景、テキスト入力、ステッカー、絵文字スタンプとなっていますが、種類によっては他のエフェクトを無効にしないと使えないものもある点に注意してください。
ライブタイトルは、自動的に音声認識による字幕を付けてくれる機能で、最近普及しつつある無音動画を作るのにも最適です。
下端の撮影後のクリップを選択すると、後から一部のエフェクトを加えたり、消音、削除、トリミング、分割、複製、保存の操作も可能。クリップをドラッグして順番を変えるなど、ショートビデオ制作には必要十分な機能を備えています。
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AR空間機能でダイナミックな効果も手軽に作成
AR空間機能は、Clipsの新しい目玉機能。画面の指示に従って周囲をスキャンし、AR空間を選ぶと、目の前のシーンにハートや絵文字を降らせたり、その場をダンスフロアに変えるなどのダイナミックな効果を加えることができます。
サンプル動画後半のシーンでは、被写体までの距離を認識して、その前後に効果が加えられていることがわかるでしょう。
まとめ
冒頭でも触れましたが、マーケティングにおける動画の重要性は日増しに高まっており、この傾向はこれからも続いていくものと考えられます。また、大企業は動画制作にもそれなりの予算を組みますが、誰もがスマートフォンなどで動画の撮影や編集を行えるようになった今日では、テーマやアイデアがしっかりしていれば、少ない予算でも訴求力のある動画コンテンツを用意することは、さほど難しいことではなくなっているといえるでしょう。
BiNDupを利用して自らWebサイトを構築している方であれば、動画に関しても身近なアプリを使って十分なクオリティのものを作れるはずです。今回紹介したこれらのトレンドに沿った形式やチャンネルを、自らの動画マーケティングにも役立ててください。
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POINT
- 製品やサービスの情報発信はショートビデオが好まれる
- 若年層向けのプロモーションにはTikTokが必須
- ARなどのダイナミックな効果の動画は視聴時間が長い