ホームページ制作でつまずく原因の多くは、デザインやツール選びではなく、その前の企画にあります。この記事では、ホームページの企画で決めるべき7つの項目と、実際に企画を進める5つのステップを、制作会社に頼む場合と自分で作る場合の両方に共通する形で整理します。企画書のまとめ方とつまずきやすいポイントもあわせて解説します。
ホームページの企画とは?
ホームページの企画とは、ページを作りはじめる前に何のために・誰に向けて・何を載せるサイトなのかを決める工程です。デザインの検討やツール選びよりも先に行います。企画が決まっていないと、そのあとのすべての工程で判断の基準がなくなります。
企画・設計・デザイン・制作は役割が違う
ホームページ制作は、大きく企画・設計・デザイン・制作・公開の5つのフェーズに分かれます。混同されやすいのですが、企画は「何を作るか」を決める工程で、設計は「どう並べるか」を決める工程です。
企画で決まるのは、サイトの目的、届けたい相手、載せる情報、必要な機能、予算と体制、公開時期といった前提条件です。設計はその前提を受けて、ページの一覧をサイトマップに落とし、1ページごとの中身をワイヤーフレームという簡単な設計図にしていきます。
ワイヤーフレームについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。
デザインは見た目を決める工程、制作はそれを動くページにする工程です。この4つは順番に依存していて、前の工程が決まらないと次の工程が始められません。デザインから考えはじめてしまう相談は多いのですが、それは3番目の工程から手をつけていることになります。

企画を飛ばすと、あとの工程で何が起きるか
企画を省いてもホームページは作れます。ただし、そのしわ寄せは必ずあとの工程に出ます。もっとも多いのは、途中でページが増えたり減ったりして作業が止まるという状態です。
たとえば「会社案内のサイトを作ろう」とだけ決めて着手すると、制作の途中で「採用情報も入れたい」「よくある質問も必要では」という話が出てきます。目的が決まっていれば、その追加が目的に沿うかどうかで判断できます。決まっていなければ、声の大きい人の意見が通るだけです。
デザインの段階でも同じことが起きます。良し悪しを判断する基準がないと、デザインの検討は個人の好みの言い合いになります。
公開後はさらに困ります。何をもって成功と言えるのかが決まっていないため、うまくいっているのか判断できません。改善しようにも、どこを直せばいいのかの手がかりが残らないという状態になります。
依頼する場合も、自分で作る場合も企画は必要
制作会社に依頼するなら企画も任せられる、と考えられがちですが、実際は逆です。企画の材料を出せるのは、事業のことを知っている自分たちだけだからです。
制作会社ができるのは、出された目的や条件を実現方法に翻訳することで、目的そのものを決めることはできません。企画が曖昧なまま依頼すると、ヒアリングに時間がかかり、見積もりの前提も定まらず、結果として費用と期間が膨らみます。
自分で作る場合はさらに切実です。相談相手がいないぶん、迷ったときに立ち返る基準を自分で用意しておかないと、作業が途中で止まります。ツールの操作を覚えるより、企画を1枚にまとめておくほうが早く公開できます。
ホームページの企画で決めるべき7つの項目
企画で決めることは、大きく7つに整理できます。1から順に決めていくと、後ろの項目が自然に定まるという順番になっています。逆に途中から決めようとすると、前に戻ってやり直すことになります。
目的とゴール
最初に決めるのは、そのホームページで何を増やしたいのかです。問合せ、予約、資料請求、採用応募、商品の注文など、目的は1つに絞ってください。
複数の目的を並べると、ページの構成もボタンの置き方も分散します。訪問した人が最初に目にする場所に、問合せと予約と採用が同じ大きさで並んでいるサイトは、結局どれも押されません。
ゴールは、可能な範囲で数字にしておきます。「月に5件の問合せ」「月に10件の予約」といった水準で構いません。数字があると、公開後に成功か失敗かを自分で判断できるようになります。実績がわからない場合は、公開後3か月を計測期間と決めるだけでも機能します。
ターゲットとその状況
次に、そのサイトを見に来る人がどんな人かを決めます。年齢や性別といった属性より、どんな状況で、何を知りたくて検索しているのかのほうが重要です。
たとえば同じ美容サロンでも、「近所で今日行ける店を探している人」と「結婚式に向けて半年かけて通う店を探している人」では、知りたいことがまったく違います。前者に必要なのは営業時間と空き状況、後者に必要なのは施術の実績と担当者の情報です。
複数のターゲットが思い浮かんだ場合は、もっとも増やしたい相手を1つ選んで主役に据えます。他を切り捨てるのではなく、迷ったときの優先順位を決めておく、という意味です。
掲載する情報
ターゲットが決まったら、その人が行動を決めるために必要な情報を洗い出します。ここで効くのは、自分が伝えたいことではなく、相手が判断するのに必要なことから並べるという順序です。
サービス内容、料金、実績、対応エリア、担当者の顔と経歴、問合せ方法は業種を問わず必要です。反対に、企業理念や沿革は、載せる価値はあっても最初に読まれる情報ではありません。
判断に迷ったら、実際に問合せで聞かれる質問を思い出してください。電話で毎回説明していることは、そのままページに載せるべき情報です。
ページ構成と規模
載せる情報が決まると、必要なページ数がおおよそ見えてきます。小規模な事業のホームページなら、5から10ページ程度で成立することがほとんどです。
トップページ、サービス紹介、料金、実績や事例、会社概要、問合せ。この6つが基本形で、業種に応じてメニューやアクセス、スタッフ紹介が加わります。
ページ数は少なめから始めるのが安全です。作りきれずに「準備中」のページが残るほうが、ページ数が少ないことより印象を損ねます。あとから足せることを前提に、最初の公開範囲を決めてください。
必要な機能
ページを並べるだけで足りるのか、機能が必要なのかをここで決めます。よく検討対象になるのは、問合せフォーム、予約受付、ブログや新着情報、ネットショップの4つです。
フォームはほぼすべてのサイトで必要になります。予約受付は、電話対応の負担が大きい業種では効果が大きい一方、導入すると運用の手間が増える面もあるため、誰が予約を確認するのかまで決めてから判断してください。
ブログは、更新する人と頻度を決められる場合のみ入れます。半年更新が止まっているブログは、載せないほうがましです。機能は多いほどいいのではなく、続けられる範囲に絞るのが正解です。
予算と体制
費用は、制作にかかる初期費用と、公開後に毎月かかる運用費用の2つに分けて考えます。運用費用にはサーバー代とドメイン代が含まれ、制作会社に更新を依頼する場合は、その都度の作業費も積み上がります。
体制で決めておきたいのは、誰が作るかよりも、公開後に誰が更新するのかという1点です。ここを決めずに公開すると、料金改定やスタッフの入れ替わりのたびに外部へ依頼が発生し、更新が滞ります。
自社で更新するなら、その担当者が無理なく操作できるかどうかが、ツール選びの条件になります。専門知識のある人が社内にいない場合ほど、この条件は重くなります。
このサイトは、当メディアBiND CAMPを運営するウェブライフのノーコードCMS「BiNDup」で作られています。ノーコードCMSとは、コードを書かずに画面操作だけでページを作れるツールのことです。キモノの気持ちがこのツールを選んだ理由は「専門的な知識がなくても直感的に操作できる」ことで、更新担当が自分で触れるかを条件にした選び方です。
少人数でどう運用を回しているかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
公開時期
最後に、いつまでに公開するかを決めます。期限がないホームページ制作は、ほぼ確実に長期化します。
展示会、繁忙期の入り、キャンペーンの開始日など、動かせない日付に紐づけると期限が守られやすくなります。
完璧な状態を目指すより、最低限の情報がそろった段階でいったん公開し、あとから足していく進め方のほうが現実的です。公開しなければ、成果も改善のヒントも得られません。

ホームページ企画の進め方5ステップ
決めるべき項目がわかったら、次はそれをどう決めていくかです。各ステップで形に残るものを1つずつ作りながら進めると、社内の合意が取りやすく、あとから見返すこともできます。
目的を1行で書く
最初にやるのは、サイトの目的を1行の文章にすることです。「誰に、何をしてもらうためのサイトか」を1文で言い切るのが条件になります。
たとえば「近隣で美容室を探している30代の女性に、初回予約をしてもらうためのサイト」といった形です。この1文が、以降のすべての判断の基準になります。
1行で書けない場合は、目的が複数混ざっているサインです。書けるまで削るのが、この段階でやるべき作業になります。
競合と参考サイトを調べる
次に、同じ業種や近い商圏のサイトを5件ほど見て回ります。目的は真似することではなく、その業種で「載っていて当たり前」の情報を把握することです。
見るのは3点です。どんなページがあるか、料金や実績をどこまで公開しているか、問合せや予約までの動線がどうなっているか。この3点をメモに残します。
あわせて、業種を問わず「見やすい」と感じたサイトも2、3件控えておきます。デザインの好みを言葉ではなく実物で共有できるため、あとの工程で認識のずれが減ります。
近い業種のサイトが身近に見つからないときは、実際に公開されているサイトを集めたギャラリーを使う方法があります。
デザインやカラー、使用している機能でも絞り込めるので、自分の業種で絞って、どんなページが用意されているかを見てみてください。
見に来る人の行動を書き出す
ターゲットがサイトに来てから行動するまでの流れを、順番に書き出します。どのページを見て、何を確認して、どこで問合せをするのかを1本の線でつなぐ作業です。
たとえば「検索でサービス紹介ページに来る → 料金を確認する → 実績を見て安心する → 問合せフォームに進む」といった具合です。この流れを書くと、途中で足りないページが見えてきます。
この段階で、問合せボタンをどのページに置くべきかもおおよそ決まります。行動の流れが切れる場所に、次の一歩を促す導線を置くのが基本の考え方です。
この手順は、制作を仕事にしている人が実際に踏んでいるものでもあります。17年にわたってクライアントのサイトを手がけているデザイナーの岩切宏樹さんは、制作前に必ず行うこととして「『ページ構成』と『ユーザーの行動』を整理すること」を挙げ、誰がどこから入り、何を理解し、次にどう動いてほしいのかを明確にしてから組み立てると話しています。順番を守るだけで、プロと同じ土台に立てる工程だと考えてください。
プロが企画から設計をどう組み立てているかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
要件を1枚にまとめる
ここまでの内容を、A4で1枚程度にまとめます。目的、ターゲット、掲載情報、ページ数、必要な機能、予算、公開時期の7項目を並べるだけで構いません。
この1枚が要件シートになります。制作会社に依頼する場合はそのまま渡せますし、自分で作る場合は作業中に迷ったときの立ち返り先になります。
1枚に収まらない要件は、たいてい決めきれていない項目が混ざっています。収まるまで削ってください。
サイトマップに落とす
最後に、必要なページを樹形図の形に並べます。トップページを頂点に、その下に第2階層のページ、さらに下に個別ページを配置していく形です。
サイトマップができると、ページ数と作業量が具体的な数字として見えるようになります。10ページなのか30ページなのかで、必要な時間も費用も大きく変わります。
この段階でページが多すぎると感じたら、公開時に出すページと、あとから足すページに分けます。最初の公開範囲を明確に区切っておくと、着手してからの判断が速くなります。

ホームページの企画書には何を書く?
企画書は、5つのステップで作った成果物をまとめ直したものです。新しく考えることはほとんどなく、すでに決めたことを人に伝わる形に並べ替える作業になります。社内で承認を得る場合も、制作会社に渡す場合も、書く項目は同じです。
企画書に書く6つの項目
以下の6項目がそろっていれば、企画書として機能します。
| 背景と課題 | 今どんな状況で、何に困っているのか |
|---|---|
| 目的とゴール | 何を増やしたいのか、達成の基準は何か |
| ターゲット | 誰に、どんな状況で見てもらうのか |
| サイト構成 | ページ一覧と、必要な機能 |
| スケジュール | 公開日と、そこまでの主な区切り |
| 費用と体制 | 初期費用、運用費用、公開後の更新担当 |
この6項目のうち、もっとも読まれるのは背景と課題の部分です。承認する側が知りたいのは、なぜ今それが必要なのかだからです。
社内で通すための書き方
企画書が通らない理由の多くは、内容ではなく伝わり方にあります。作り手の視点で書かれた企画書は、決裁する人には判断材料になりません。
意識したいのは3点です。1つ目は、今の課題を具体的な事実で書くこと。「サイトが古い」ではなく「スマホで見ると文字が小さく読めない」と書けば、判断する側も状況を確認できます。
2つ目は、費用を初期と運用に分けて示すことです。公開後に毎月いくらかかるのかを最初に示しておくと、あとから追加承認を取る手間がなくなります。
3つ目は、やらないことを書いておくことです。今回の範囲に含めない項目を明記しておくと、あとから要望が追加されたときに、範囲外だと説明する根拠になります。
ホームページの企画でつまずきやすい3つのこと
企画の失敗には型があります。3つのパターンを知っておくだけで、多くのやり直しは避けられます。どれも公開してから気づくと修正の負担が大きい項目です。
目的がサイトの公開そのものになっている
もっとも多いのが、いつのまにか公開すること自体が目的になってしまうパターンです。作業を進めているうちに、何のために作りはじめたのかが背景に退いていきます。
見分け方は簡単で、「このサイトで何が増えたら成功ですか」に即答できるかどうかです。答えに詰まるなら、目的が薄れています。
対策は、最初に書いた1行の目的文を、作業する場所から見えるところに置いておくことです。判断に迷うたびにその1行に戻るという使い方をすると、ぶれにくくなります。
更新する人を決めないまま公開する
2つ目は、公開後の担当を決めずに走り出すパターンです。制作中は全員の関心が高いため、この問題は公開してから表面化します。
料金が変わった、スタッフが入れ替わった、キャンペーンを告知したい。こうした更新のたびに外部へ依頼が発生すると、費用と待ち時間が積み重なります。結果として更新が後回しになり、情報が古いままのサイトが残ります。
避けるには、企画の段階で更新担当を名前まで決めておくことです。あわせて、その人が専門知識なしで操作できるツールかどうかを、選定の条件に加えてください。ここを後回しにすると、あとから作り直すことになります。
機能を盛り込みすぎる
3つ目は、あれもこれもと機能を追加してしまうパターンです。予約もチャットもネットショップも、と広げた結果、どの機能も中途半端なまま公開されて誰にも使われないという状態になります。
機能を追加するかどうかは、運用できるかで判断してください。予約機能なら誰が予約を確認して返信するのか、ネットショップなら誰が在庫と発送を管理するのか。担当者が決まらない機能は、入れないほうが安全です。
最初は目的に直結する機能だけに絞り、運用が回りはじめてから足していきます。この順番なら、機能が増えても手に負えなくなりません。
企画が固まったあとの流れ
企画が決まれば、あとの工程は判断に迷う場面が大きく減ります。設計・デザイン・制作・公開のすべてが、企画で決めた前提に沿って進むためです。ここでは各工程で何をするのかを、企画とのつながりで整理します。
設計とデザインで決めること
設計では、サイトマップをもとに1ページずつの中身を決めます。ここで役立つのが、書き出しておいた行動の流れです。上から順に、相手が知りたい順で並べるのが基本になります。
デザインでは、色、書体、写真、余白の取り方を決めます。企画でターゲットが決まっていれば、好みではなく、その相手に届くかどうかでデザインを判断できるようになります。写真は用意に時間がかかるため、早めに動いて商用利用の可否まで確認してください。
公開と、その後の運用
公開前には、スマホでの見え方、フォームが届くか、リンク切れがないかを確認します。特にフォームは、実際に自分で送信して受信を確かめてください。届かないフォームを置いたまま数か月が過ぎる例は珍しくありません。
公開はゴールではなく開始地点です。問合せ件数、よく見られているページ、離脱の多いページ。この3つを見るだけでも、次に直すべき場所が見えてきます。
運用まで含めて企画に入れておくと、公開後に手が止まりません。月に一度見直す、といった軽い決めごとで構いません。
企画で決めたことを、そのまま形にするために
企画を丁寧に進めても、形にする手段が合っていなければ公開後に更新が止まります。企画で決めた更新担当と、最初の公開範囲。この2つがそのままツール選びの条件になります。最後に、その確認の仕方を整理します。
更新担当が自分で触れるかどうか
予算と体制の項目で触れたように、更新のたびに外部へ依頼が発生すると、費用と待ち時間が積み上がります。その結果、料金やスタッフの情報が古いまま残っているサイトができあがります。これを避けるには、企画で決めた更新担当が自分で触れるツールを選ぶしかありません。
先に触れたBiNDupは、ブロックを組み替えてページを作る仕組みです。専門の担当者がいない事業者でも、文字や写真の差し替えを自社で完結できます。1名から2名で運用している例も、この操作性を理由に挙げています。
あとから足していける形になっているか
公開時期の項目で、最低限の情報で公開してあとから足していく進め方を勧めました。
BiNDupでは、ページの追加も新着情報の更新も管理画面から行えます。問合せの受付に使うフォームは全プランに含まれているため、公開した時点から問合せを受けられる状態になります。
電話ではなくサイト側で予約を受けたい場合は、予約管理のSmoothBookingが使える上位のビジネスコースに後から変更し、利用することも可能です。企画の段階で必要な機能を絞り込んでおくと、どのコースを選べばいいかもそのまま決まります。
企画で決めたページ構成が実際にどう並ぶのかは、テンプレート一覧で近い業種のものを開いてみるとつかめます。自分の企画に足りないページがないかを、作りはじめる前に確認できます。
BiNDupには無料トライアルがあります。企画書ができた段階で触っておくと、決めた内容が形になるかを、費用をかける前に確かめられます。ぜひ、お試しください。

