ニュースリリース(プレスリリース)の書き方|作成前に確認したい目的やポイントとは
ニュースリリースとは、メディアおよびエンドユーザー向けに自社の最新情報を伝えるための公式な文書です。企業が自社の情報を多くの人に伝えたり、ステークホルダーと良好な関係を築いたりするためにもニュースリリースの配信は重要といわれています。本記事では、ポイントを押さえたニュースリリースの書き方を解説します。準備すべきことや基本構成などを分かりやすく紹介するので役立ててください。
1. ニュースリリースとは
ニュースリリースとは、メディアに自社の新しい情報をいち早く知らせるために作成する文書です。新商品や新サービスのリリース時や、他社との提携が決まったときなどに配信します。
一般的にニュースリリースを作成するのは、自社の新商品やサービスについて記者に記事を書いてもらい、周知したいタイミングです。
1-1. 広告との違い
広告とは、メディアに対して所定の料金を支払い、自社の情報をメディア媒体の閲覧者に対して配信するものです。
また、似たものにプレスリリースがありますが、プレスリリースは記者・報道関係者向けに会社や団体などが情報を配信するものです。現在、プレスリリースとニュースリリースとの差はなくなりつつあります。あえて違いを指摘するならばプレスリリースは報道関係者、ニュースリリースは世の中すべての人を情報伝達の対象としている点が差異となります。
2. 【作成する前に】ニュースリリースを書く目的とは
ニュースリリースを書く目的は、メディア向けに自社の最新情報を整理して伝え、これを記事にしてもらうことで、最終的に多くの人に自社の情報を伝えることです。さらに最新情報を通してステークホルダーとの関係作りが目的でもあります。
ニュースリリースを作成する前にこうした目的を再認識しておくと、文書にまとめやすいでしょう。
3. ニュースリリースを作成するときに意識すべきこととは
ニュースリリースを作成するときには、以下のようなことを意識しておくべきといえます。
3-1. 特別な文書であることを認識する
ニュースリリースはメディア関係者向けの公式の文書です。ニュースリリースを報道に繋げるためにも、自社が伝えたいことを分かりやすくまとめる必要があります。
ここで特に注意したいのは、ニュースリリースがただの文書、あるいは広告ではないという点です。ブログ記事や広告のようになってしまっては、メディアに取り上げられることもなく、「報道してもらう」という当初の目的が果たせなくなります。後述する基本的な構成や書き方を理解することで、報道向けに適した文書に整えましょう。
3-2. ターゲットに刺さる文書を考える
ニュースリリースを届けたいターゲットを明確にしたうえで、ターゲットに刺さる文書を考えることも大切です。ニュースリリースは報道関係者に発表しますが、その先に、情報を見てもらいたいターゲットがいることを意識しましょう。
ニュースリリースを作成するときは情報の正確性、具体性も重要です。正確であることはもちろんですが、具体性のある情報だからこそ報道陣やターゲットの興味を惹くことができます。
4. ニュースリリースの基本構成を確認
ニュースリリースは以下のような情報から構成されます。いわば、書き方のテンプレートとなっている内容なので、しっかりと確認しましょう。
4-1. 構成1. 発信者・発信日
ニュースリリース冒頭は、発信者と発信日を明確に記載してあることが大切です。ニュース性が重要なニュースリリースにとって、発信日も重要な情報のひとつといえます。
発信者は「株式会社」などの称号も省略することなく、正式名称を用います。また年月日は西暦で記載しましょう。
4-2. 構成2. タイトル・見出し
タイトルと見出しは、ニュースリリースの結論を表す部分です。短い文で、何について書いてあるかがすぐに分かるよう、最も伝えたいことを簡潔にまとめます。
タイトルだけで必要な情報が伝えきれないと判断した場合は、サブタイトルで情報を補足するのも有効です。ただし、肝心の部分はタイトルに入れるよう留意しましょう。
4-3. 構成3. リード文
タイトルに続いて記載するのがリード文です。リード文はニュースリリース全体の要約となる部分で、「誰が、なぜニュースリリースを出したのか」が分かるように記載します。
リード文にはニュースリリースの発信者に関する情報や、新商品、新サービスの情報を簡潔に掲載する必要があります。情報に漏れや重複がないように注意してください。
4-4. 構成4. 本文
リード文の下には、ニュースそのものの詳細を伝える本文を記載します。本文は「結、起、承、転」に即して情報をまとめましょう。
このとき、情報を詰め込みすぎないことも重要です。読み手側の立場にたって分かりやすい文書を執筆しなければなりません。
4-5. 構成5. 画像
画像は、ひとつのニュースリリースに最低1枚は掲載することをおすすめします。掲載の場所は本文下のこともありますが、リード文と本文の間になることもあります。
ここで掲載する画像は情報がシェアされる際にアイキャッチとして使用されることがあるため、好感のもてる見栄えの良い写真を用意しましょう。
4-6. 構成6. 問合せ先
ニュースリリースの最後には、興味を持った読み手が連絡できるよう、企業情報、住所、電話番号、メールアドレス、担当者名などの問合せ先を記載します。
問合せがあった場合にすぐに応対できる可能性を高めるため、担当者は2名体制が理想です。
5. ニュースリリースの書き方でチェックしたいコツとは
ニュースリリースの書き方は、特徴的な一定の条件を満たしていることが理想的です。チェックしておきたい書き方のコツを解説します。
5-1. タイトルでは30文字前後で結論を述べる
タイトルは最初に読み手の目にとまる部分になるため、25~30文字未満で簡潔にまとめましょう。記者はたくさんあるニュースリリースのすべてを読むわけではありません。最初のひと目でぱっと何について書いてあるかが把握でき、記者の興味を惹けるのが理想的です。
またタイトルは言葉選びが重要です。重要なキーワードはタイトル前半に置き、またニュースバリューのあるキーワードも含めると良いでしょう。記者が「記事にしよう」と思うためには、この話題が読者から求められていると感じてもらう必要があるためです。
5-2. リード文は「5W2H」を意識する
リード文で重視したい「5W2H」とは、以下の7つを指します。
- When(いつ?)
- Where(どこで?)
- Who(誰が?・誰に?)
- What(何を?)
- Why(なぜ?)
- How(どうやって?)
- How much(いくらで?)
これらの情報を整理しつつ、リード文を読んだだけでニュースリリースの全体像を把握できるようにまとめます。
全体像といっても話題がバラけてしまっては要点がわからなくなってしまうため、商品やサービスの特徴だけを絞り込み、上手にピックアップしましょう。
5-3. 本文はニュース性・トレンド性を忘れない
ニュースリリースの本文では商品やサービスについて詳しく記載できますが、そこにニュース性やトレンド性がなければメディアに取り上げてもらうことができません。本文のなかに、「そのとき」に情報を配信しなければならない理由見出すことが重要です。
したがって本文は、「今」この商品やサービスを打ち出す理由を客観的に述べている必要があります。業界のトレンドに即した配信になるよう文章を選びましょう。
5-4. 一文の長さは50文字以内にする
読みやすい文章の目安は一文あたり25~50文字です。したがって一文の長さは50文字以内とします。また、文章のまとまりで見やすいように改行することもポイントとなります。3~4行ごとに改行する、8~10行ごとに小見出しをつける等の工夫もおすすめです。
ニュースリリースは内容が分かりやすいことが重要です。文章は長くなると内容が分かりにくくなるので注意しましょう。全体の長さも同様です。ニュースリリースとして最も読まれやすい文量は、全体として600文字前後であるといわれています。
5-5. 客観性・専門性があるデータを本文に盛り込む
本文には、データの数字や図を盛り込むと効果的です。例えば来場者数、売上の実績、市場予測など、客観性のあるデータを引用すると良いでしょう。
ただし事実の誇張は避けなければなりません。表現としても広告のような誇大表現はメディアにも好まれないため、記事としても取り上げられにくくなってしまいます。記事として取り上げてもらい、幅広く情報を伝達するという本来の目的を満たすためにも、事実に忠実な記載を心掛けましょう。
5-6. 形容詞の使用を避ける
ニュースリリースでは形容詞の使用を避ける工夫も必要です。形容詞を用いると広告のようになってしまいます。
同様に商品・サービスの購入を促すことも避けなければなりません。よくある「ぜひご利用ください」といったような文末も不適切な文章となるため注意しましょう。
5-7. 専門用語の取り扱いに注意する
ニュースリリースは記者に取り上げられた後、記事として一般の人の目に触れる可能性があるため、専門用語の使用はできるだけ避けるべきといえます。難しい専門用語の含まれたニュースリリースは、記者が見ても内容が伝わりにくく、また記事にしにくいため、メディアに取り上げられにくい文書となってしまいます。
製品やサービス説明のためにどうしても専門用語を使用しなければいけない場合は、その用語について簡潔に説明する工夫が必要です。
5-8. 視覚的にも分かりやすい文書づくりを意識する
ニュースリリースでは文書自体の分かりやすさも大切ですが、見やすいことも重要です。箇条書き、小見出し、図などをうまく使い、視覚的に理解を促す文書になるよう意識してみましょう。
とりわけ、商品の特徴が複数ある場合などは箇条書きが効果的です。またデータを取り入れて解説する際はグラフなどが役立ちます。
5-9. メディアが扱いやすい画像を選ぶ
ニュースリリースに掲載する画像は、メディアが扱いやすいものを選びます。記者が記事にするときに画像を使うこともあるため、そのまま報道に使用できるようなビジュアルのものを掲載します。
また画像サイズや、画像形式に配慮することも大切です。画像のダウンロード先を用意すると親切でしょう。ダウンロード先には記事に掲載するものとは別に、パソコン用、スマホ用、SNS用と画像をまとめておくこともできます。
6. ニュースリリースを書き上げたら確認すべきこととは
ニュースリリースを書き上げたあとは、そのまま公開せず以下の内容を確認しましょう。
6-1. 誤字脱字がないか見直す
まずは書いたものに対して、誤字脱字がないか見直します。たった1文字でも誤りがあるとニュースとしての信用度が落ちるため細心の注意を払いましょう。チェックツールやソフトをうまく活用するのがおすすめです。
6-2. 情報の正確性・漏れがないかチェックする
ニュースリリースに記載した情報が正確なものであるか、改めてすべてチェックしましょう。この時点で情報に誤りがあることに気付かないと、そのまま世の中に広まってしまう恐れがあります。ニュースリリースを配信する前に入念に確認します。
7. 最適な配信のタイミングを考える
ニュースリリースに最適な配信のタイミングを考え、配信の手続きを行います。土日は記者が稼働していない可能性が高いため、避けましょう。可能な限り、多くの記者たちに見てもらえるビジネスアワー(平日の9時〜18時)がおすすめです。
8. 次回のニュースリリースの内容を検討する
ニュースリリースは継続的に配信することで、記者に取り上げられる可能性が高まります。ニュースリリースの配信は自社の話題性に直結するものでもあるためです。したがって、ひとつのニュースリリースを配信したら、次のニュースリリースの素材を積極的に検討すると良いでしょう。